金融・保険業向けERPパッケージ
~金融・保険業界独自の会計業務に沿った業務フローに対応~

金融・保険業界は他の業種とは異なり、さまざまな規制が法律や国際ルールによって定められています。財務内容の透明性や統制などに関しても、より厳格な仕組みが求められるといえるでしょう。そのため、金融・保険業で用いられる会計システムには業界独自の計数管理や取引データの開示・監査対応など一般企業とは異なる要件が存在します。ERP(統合基幹業務システム)を選定する際には、システムの安定稼働やセキュリティといった基本的な要件の他、金融・保険業界固有の業務要件や商習慣に対応できるものが求められています。

金融・保険業向けERP

金融機関に求められる業界独自の会計システムの要件

金融機関の会計システムでは業界独自の計数管理、取引データの開示、監査対応など一般企業とは異なる要望があり、標準のERPや会計システムでは要件を満たすことができない部分があります。例えば内部統制上の観点から、会計システムのデータから業務システムの元々のデータまでトレースできることが求められます。

加えて平均残高への対応も欠かすことができない要件となります。平均残高とは毎日の残高をある期間分合計し、その期間の日数で割った数値であり、金融機関では預金や短期貸出金などを管理するための重要な指標としてこの平均残高を管理しています。

また金融商品会計では金融資産および金融負債を対象としていますが、現在ではこれらを複数組み合わせた複合金融商品も広く取り扱われるようになりました。デリバティブが内在している預金や貸出金、ある種の仕組債や新株予約権付社債などがこれに該当し、適切な会計処理を行わなければなりません。金融商品会計基準では、これらの複合金融商品について、「払込資本を増加させる可能性のある部分を含む複合金融商品」と「その他の複合金融商品」に区分した上で、それぞれの会計処理を行うよう定められています。

その上で金融機関には銀行や保険といった業種を問わず、セグメント管理の高度化と開示、財務開示の充実・早期化、IFRS対応といった会計の高度化が迫られています。

こうした多くの要件抱える金融機関ですが、それらを満たしたシステムを構築するために、その都度アドオン開発を行っては、リードタイムもコストもかかってしまいます。そこでなるべく標準機能や最低限の範囲で対応できるERPパッケージを導入したうえで、会計元帳を確立し、開示・当局報告・計数管理への対応や監査対応業務の負荷軽減を実現したいというニーズがあります。

金融機関に必要とされる機能をまとめたテンプレート

金融機関で求められる会計処理に対して、多くの会計システムでは標準機能として仕訳生成や区分経理、複数帳簿対応(国内基準、IFRS基準)、日締め管理、他通貨対応、多言語対応が可能となっています。

しかしこれだけでは、金融機関独自の要件すべてを満たすことができないのも事実です。例えば、補助簿や平均残高管理といった業務への対応です。ERPや会計システムでこの機能要件を標準で満たすものはほとんどないことから、結果として業務的に重要となる平均残高の算出をExcelで実施しているという金融機関も数多く散見されます。

そこでNTTデータ・ビズインテグラルでは、Biz∫会計と金融業界特有の機能を補った『Biz∫金融会計テンプレート』を提供しています。金融機関への導入実績をもとに培ってきたノウハウとベストプラクティスをまとめたもので、金融・保険業の会計業務に沿った標準業務フロー、業務シナリオをカバーしています。これにより計数管理、開示、監査対応などの業務負荷を軽減することができます。

実際に金融会計テンプレートを導入した金融機関の担当者からは、「これまでExcelを使って行っていた日次での平均残高作成処理が大幅に効率化し、基準日時点の平均残高帳票も画面から容易に出力できるようになった」、「十数万件の仕訳明細投入後の平均残高作成処理時間が短時間で完了するようになり、非常に良好なパフォーマンスに驚いた。」といったコメントが寄せられています。

金融会計テンプレート開発の主要機能

金融会計テンプレートが具体的にどんな機能を提供しているのか見てみましょう。

まずは「補助簿管理」の機能です。前述したとおり金融機関では内部統制上の観点から、会計システムのデータから業務システムの元々のデータまでトレースできることが求められます。この課題に対して金融会計テンプレートでは、外部の業務システムからの取引データを会計システムへ取り込む補助簿への収集処理を行います。加えて補助簿の検索・参照機能も提供しているため、源泉システムにさかのぼることなく、会計システム内で元データを確認することが可能です。

次に「平均残高管理」の機能です。金融会計テンプレートを利用することにより、金融機関で必須となる平均残高管理がBiz∫上で実行可能となります。開示や監督省庁への報告、各種計数管理に必要なセグメント別の積数および平均残高の集計、レポート出力も可能となっています。

そして3つめが「システム間リコンサイル」の機能です。リコンサイルとは複数帳簿間で残高照合を行うことを指し、その名の通り同機能では、業務システムで保持している残高およびBiz∫会計で保持している残高が一致しているかどうかの確認を日次で自動チェックし、レポート出力することができます。

さらに金融会計テンプレートは、取引データから会計仕訳伝票を生成する「会計連携」、セグメント別の残高管理機能による「区分経理」、日締め機能によりインプットを制御する「日締め管理」といった要件にも対応しています。

金融・保険業界向けERP(基幹業務システム)概要図
Biz∫会計の標準機能に金融業界で必要となる機能を付加した金融会計テンプレート

実績に基づく方法論でシステム構築をサポート

NTTデータ・ビズインテグラルでは、数多くの金融機関への導入実績に基づいた導入方法論を軸とした最適な導入プロセスより、要件定義から本番稼動、運用保守まで一貫したサポートしています。たとえば各工程で必要となる下記のようなドキュメントも活用することでスムーズな導入を進めます。

  • ヒアリングシート:お客様の業務を伺うためのドキュメントです。これまでの経験とノウハウに基づき、事前に確認すべきポイントを絞って作成されており、その後の要件定義フェーズを効率的に進めることができます。
  • 標準業務フロー:Biz∫会計の標準業務フローに加え、金融・保険業特有の日締め管理やリコンサイル作業などの業務フローを用意しています。
  • 業務シナリオ:標準業務フローに基づいたシナリオで、この上にお客様の独自の業務を追記していくことで、各種テストシナリオとして利用することができます。

こうした特徴をもつ金融会計テンプレートを活用することで、「業務プロセスの標準化・効率化」、「決算期間の短縮」、「内部統制強化および監査対応」、「データトレースの利便性向上」、「タイムリーなデータ活用」、「システム保守・運用のコスト削減」といった数多くの業務改善効果を上げることが可能となります。