20年以上利用してきたフルスクラッチからBiz∫へ全面刷新
~アドオン開発を最低限に抑えつつ、テレビ局特有の会計処理に対応~
目次
導入前の課題
- フルスクラッチのシステムを20年以上利用しており、法改正への対応や外部システムとの連携が困難に
- 一般的なERPパッケージでは、放送局特有のルールに対応しきれない
- フルスクラッチと同等のシステムを新規に構築するためには、膨大なアドオンが求められる
導入効果
- 迅速な法改正への対応実現と、紙伝票をベースにした仕組みから電子ワークフローに切り替え
- 放送業界で多数の実績があるBiz∫の導入で、複雑な会計処理に対応
- 徹底した業務の棚卸により、アドオン開発を最低限に抑え適切なコストコントロールに成功
「Biz∫」導入経緯
― 貴社の事業についてお聞かせください。
小林様
読売テレビは近畿広域圏のテレビ放送事業者として、報道番組やバラエティ、スポーツといった放送コンテンツの制作から配信事業、映画などへの出資事業、イベント事業などを行っています。
関西密着型から全国ネットのドラマやアニメ、バラエティなど幅広く制作していますが、今後も視聴者の皆様に楽しんでいただけるコンテンツをお届けしてまいります。
― Biz∫の導入に至った経緯、課題についてお聞かせください。
小林様
1998年にフルスクラッチで構築された会計システムを利用していましたが、導入から20年以上が経過していたこともあり、電子帳簿保存法やインボイス制度への対応、OCRをはじめとした外部サービスとの連携が難しくシステムの将来性に危惧を感じていました。
加えて紙を前提とした業務だったため、「申請のために会社に戻る必要がある」「伝票のやりとり、押印などの手間がかかる」などの課題があり、近年のコロナ禍や働き方改革とも相まって、電子ワークフローで完結できるよう拡張性や柔軟性の高いシステム上に切り替える必要がありました。
広瀬様
経理担当としては財務経理の核となる会計システムは、事業変化や時代に即した柔軟性が重要であると考えるようになりました。
例えば、旧システムで番組制作やイベント制作の予算実績管理を行う際は既に決まったフォーマットで行うことができますが、ビジネスが多様化した際に適応しづらくなっていました。改修を行い利用継続することも可能と考えていましたが、今後を踏まえると旧システムを前提に確立された会計処理から脱却することが不可欠と判断しました。
「Biz∫」選定理由
― Biz∫を選定した理由についてお聞かせください。
小林様
まず、選定プロセスですが複数のパッケージ製品で機能やコスト、業務とのフィット率を踏まえて比較を行いました。
様々な視点で検討を行った結果、Biz∫は全国的に実績のある国産ERPパッケージであり機能が網羅されている点に加え、特に同じ放送業界で複数の採用事例があることから安心感をもって選定しました。
広瀬様
旧システムはフルスクラッチで構築していたため、法改正が発生するたびに要件の洗い出しから調査、該当する機能の開発を一から進めなければいけません。
また対応漏れが発生するリスクもあり、開発後の修正作業も懸念していました。
そこでERPパッケージであるBiz∫に刷新すれば法改正への対応も容易になり、リスクを抑えられると期待しました。
導入プロジェクト
― 導入はどのように進めていったのですか。
広瀬様
旧システムは読売テレビに特化しており、言い換えると「とても使いやすいシステム」でした。しかしながら全機能をパッケージで代替することはコスト面、業務改革面では非現実的であるため、今回のプロジェクトでは「この機能は誰が使っているのか」「どのような目的、経緯で作ったのか」「今後も必要なのか」という視点で会計業務全般の棚卸を行いました。
Biz∫の標準機能を最大限に活用しながら、そのうえで導入パートナーであるJSOLが開発した放送業界向けテンプレートのJ’s-TVを組み合わせることで、アドオン開発を最低限にして進めました。
― 印象に残っているエピソードがあればお聞かせください。
小林様
導入プロジェクトは2022年の春からスタートしましたが、地理的に読売テレビは大阪、導入パートナーのJSOLは東京とそれぞれの主要拠点が離れていました。 通常であればオンライン会議がベースのところ、JSOLと定期的に対面での打ち合わせを行うことで、重要な局面ではしっかり議論を進めることができました。
広瀬様
経理視点では、インボイス制度への対応を2023年10月までに完了させることが命題としてありました。期限が決められた中で、制度内容とシステムとを照らし合わせながら地道にプロジェクトを進めたことは、とても印象に残っています。
本稼働後の効果
― Biz∫の導入には、どのようなメリットがありましたか。
広瀬様
一般的なERPパッケージの標準機能だけでは、テレビ局特有の制度や業務に対応できないケースもあります。今回、Biz∫と放送業界向けテンプレートの組み合わせを採用することで、テレビ局として必要な機能をカバーしつつアドオン数を最小限に抑えることができ、コスト削減につながりました。
― ユーザーや現場部門ではどのようなメリットがありましたか。
小林様
紙伝票から電子ワークフローに切り替わった点が一番大きいと考えています。
テレビ局のプロデューサーは、予算や実績の管理が番組単位で求められ、細かいチェックを行っています。特に近年はガバナンスの観点から経理承認も含めて多段の確認を行っていますが、申請・承認作業の電子化により業務を効率化できました。
読売テレビでは大阪本社と東京支社で拠点をまたいでいますが、承認に関わる物理的な紙の輸送もなくなり、大幅な時短も実現しました。
また、旧システムでは困難だった他のサービスとの連携もBiz∫では容易でした。
例えば、OCRを活用した領収書・請求書の読み取りから自動入力、交通費計算サイトと連携した交通費自動入力も可能となり、経費精算する社員の負担軽減を実現することができました。
将来展望
― Biz∫の利用を通して、どのような将来展望をお持ちですか。
広瀬様
放送業界は、放送や番組制作、イベント運営などの旧来のビジネスだけでは立ち行かなくなる時代が到来しつつあります。これからの経理に求められるのは、「新しいビジネス」や「新しい投資」の実施を経営サイドが判断した際に、臨機応変に対応できることであると考えています。
その点、旧システムはシンプルな管理方法のみだったのですが、Biz∫で構築した新しいシステムなら、これまでにはないビジネス形態であっても管理会計をはじめとして柔軟に順応できるのではないでしょうか。
小林様
現在、コンテンツに関するデータを収集して社内公開を行っていますが、今後はBiz∫に蓄積された会計データやその他様々なデータも合わせて総合的に分析し、放送の発展に繋げていくことを目指しています。
将来的にデータドリブンを推進していくためには、それらを集約する中核にBiz∫という信用できるパッケージが存在していることは大きな安心感があります。これにより、さらに働きやすく、クリエイティブなコンテンツ制作を支えていけるのではないかと期待しています。
パートナーからの一言
導入パートナーとして弊社をご選定頂きましたこと、大変光栄に存じます。読売テレビ様の事業拡大ならびに業務の最適化を踏まえたご要請を踏まえ、Biz∫をベースとした当社の放送業向けテンプレート【J’s-TV】をコアとしたご提案・プロジェクト運営を実施致しました。
プロジェクト実施期間は、当社のこれまでの放送業向けの導入ノウハウを結集しつつ、特にお客様が実現されたいポイントに関しましては、コミュニケーション機会の設定をはじめ、お客様の最大限のお力添えを頂きました。お陰様でプロジェクトは円滑に進められ、無事に本番稼働を迎えることが出来ました。
このプロジェクトを契機として、お客様とは長年に亘る強固なパートナーシップを築けました。当社としても放送業界におけるERP導入の業務知見を更に深めることが出来ました。
今後も読売テレビ様の経営高度化に向けた取り組みをご支援できればと存じます。
(株式会社JSOL)
企業紹介
会社名 讀賣テレビ放送株式会社
昭和33年創立。近畿広域圏を対象に基幹放送事業や放送番組の企画、制作及び販売、イベント事業やコンテンツ事業などエンターテインメントとクリエイティブに関わる幅広い事業に取り組んでいる。
導入事例資料
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