~低リスク、低コストで新システムを数社に導入 SCAW財務管理から後継製品のBiz∫会計へシステム更改を実現~

導入前の課題と効果

導入前の課題

  • 現行会計システム(SCAW財務管理)のサポート終了によって、新たなソリューション導入の必要性に迫られていた。
  • 短納期での導入、更改時にかかる稼働の最小化も求められていた。
  • また、これを機会に関連各社で個別に運用されていたITシステムを一元管理化したいという要望が高まっていた。

導入効果

  • SCAW財務管理と親和性の高いBiz∫会計の導入によって短納期を実現。移行作業の負担を抑え、更改をスムーズかつスピーディに実現。
  • 関連企業複数社でほぼ同時に更改。一元管理化とともにイニシャルコストを大幅に抑制。
  • 新規システム導入による仕様改善後の大きなトラブルもなく、科目の統合などさまざまなメリットが享受できた。

課題解決までのレポート

煩雑なシステム移行作業のリスク軽減。アドオンなしの標準仕様でも抜群のフィット率。

ガソリンや軽油、灯油、液化ガスなどエネルギー販売の分野で、国内屈指のシェアを誇る昭和シェル石油。同グループの一員としてその屋台骨を支えているのが、石油精製を主な業務とする昭和四日市石油(三重)と東亜石油(神奈川)である。精製能力は双方合わせて日産32.5万バレル。(2014年6月現在)これが全国各地のサービスステーションや小売店、特約店を通じて、私たち消費者の元へと供給されている。人々の暮らしはもちろん、日本経済の命脈を保っているといっても過言ではない。

一方、昭和四日市石油と東亜石油の会計業務を下支えしているのが、2014年3月末に導入されたBiz∫会計だ。各社ともに会計業務においては、もともとBiz∫会計の前身であるSCAW財務管理シリーズが用いられていた。しかし、サポート期間の終了にともない新たなERPシステムの導入が急務となり、関連各社で個別に運用されていたITシステムの一元管理化も、もうひとつの検討課題として取り沙汰されていた。

「当社は、当初から経理システムを併用した管理会計を行っていました。分析コードなどのコード体系を豊富に持つ事ができるSCAW財務管理シリーズは、他社のシステムに比べアドバンテージがありました。また、既存システムの勘定コードが10桁ほどあり、その桁数を持てるという点でも、高い信頼感がありました。今回導入したBiz∫会計は、SCAWの後継製品。自ずと新システム導入機種の最有力候補にのぼりました」とは、東亜石油 経理財務部 課長 嶋澤 一敏氏の弁。むろんSCAWから他社製品への乗り換えも選択肢にのぼってはいたが、グループファンクションズ情報企画室 担当主査 椋本 孝一氏もBiz∫会計の導入には積極的だったという。

「むしろ、他社のシステムに乗り換えた場合、既存システムからのデータコンバートにおけるマンパワーの増大が懸念されたのです。その優位性は揺るぎませんでしたね」

導入企業は昭和シェル石油のグループ企業である昭和四日市石油、東亜石油、さらにその関連企業2社の計4社。2013年7月の選定から翌年3月末のカットオーバーを目指してプロジェクトが進行していく。途中、諸事情から東亜石油での本稼働が急がれることとなり、当初予定されていた9ヵ月から6ヵ月にスケジュールを圧縮。この規模のシステム更改では比較的スピーディな短期導入が実現した。機能網羅性が高く、アドオンなしの標準仕様でもフィットするBiz∫会計の長所が、この場面では遺憾なく発揮されたといっていい。

もちろん、アドオンをともなわずプロジェクトを完遂させることができたのは、これまで培ってきたNTTデータビジネスシステムズの豊富な導入経験とノウハウの他に、現状におけるワークフローの細部を見直すなど、昭和シェル石油サイドの配慮や工夫があった事も大きく寄与している。

NTTデータビジネスシステムズは、開発着手前のアセスメントでフィット&ギャップ分析を実施。SCAW財務管理とBiz∫会計の差異を明らかにしつつ、さまざまな方法を用いて運用イメージの視覚的なプレゼンテーションを行った。その後、要件定義を方向付けていく過程では、当初からリクエストのひとつに挙げられていた勘定科目の統合が図られ、導入企業側の負担を軽減する施策が採られた。「プロジェクトの進捗管理や問題・課題のステータス管理といったNTTデータビジネスシステムズのこまめなリードによって、プロジェクトは円滑に進みました。そもそも新システム導入の提案から採用決定に至るまでに1年余りの時間を要していたのです。その間、多いときでは週に1〜2回のミーティングを重ね、徹底して意思の疎通と目的の共有を図りました。また、時にはNTTデータビジネスシステムズの開発担当者も含め、私たちの社内会議に同席してもらい、他社製品との機能比較検証などの明確な決定判断材料を提供してくれたりと手厚いサポートを提供してくれました。Biz∫会計の高い機能網羅性もさることながら、相互努力の過程で得られた絆や信頼によって、今回の短納期が実現できたと感じています」と、椋本氏が往時を振り返る。 結果、単なるバージョンアップとは異なる上位製品へのアップグレードだったにもかかわらず、ノンカスタマイズでの標準導入で高いフィット率の実現とコストの抑制が達成された。
昭和シェル石油様 ERP導入後のシステム構成図

【 図:昭和シェル石油様 システム構成図 】

選択の決め手

開発コスト、維持コストの抑制と将来の拡張性。開発から保守まで一貫したサポートも大きな決め手に。

昭和シェル石油グループ4社が、今回の導入に踏み切った決め手は、大きく以下の3つに集約される。

1.機能網羅性に定評があるBiz∫会計なら、標準仕様でも現在の業務環境にフィット。また既存資材の流用、統一基盤にしたことで開発コスト、維持コストの抑制が可能であるとともに、将来の拡張性も期待できる。
2.同じ設計思想を受け継ぐ後継製品へのアップグレードであったため、移行データをはじめから作り直すといった人的・時間的負荷の最小化が図れる。
3.NTTデータビジネスシステムズによるサポートの継続により、システム更改に対する多様な不安や問題点の払拭が期待できる。

「グループの方針として、システムの統一化、一元化を図っていこうという前提がありました。勘定コードをグループ各社で揃えるという目的も達成できますし、環境を統一することで互いにメリットが生まれ、コストを軽減できます」と、経理財務統括部 グループ会計室 室長 増田 克己氏は語る。

とりわけ、NTTデータビジネスシステムズのサポート体制も導入の意思決定に一役買っている。元々、業務への理解の深度が深く、導入検討の初期段階から携わっている営業担当およびシステム開発スタッフがその後のメンテナンスや保守にも携わっていくというスタイルが、他社では得られない信頼感や安心感につながっていった。

将来の展望

グループの方針に適ったシステム更改の好例。現場負担の軽減で本来業務への注力が可能に。

他のERPシステムに比べて親和性の高いシリーズ間での移行とはいえ、コスト低減の観点からカスタマイズを極力排しつつ相応のパフォーマンスを求めるとなると、どうしても不安やリスクが顕在化してくるものだ。しかし「当社の場合はアドオンなしで充分だった。費用を抑えつつ、短期間でシステムを刷新することができた」と椋本氏が語るように、そのハードルは意外にも低い。アドオン追加が少なければバージョンアップ時のリスクも軽減できる。特に本ケースでは、複数会社が統合導入したことによる一元管理化のメリットも得られた。

「現在、使い勝手に対するクレームはほとんどなく、業務の実勢にアジャストした運用が可能な状況です。システム的には運用コストを低減させ、統合を果たし、四日市石油と東亜石油で同じツールを使っていますが、運用面で一部異なる部分があり、今後はその運用の統合を行い、更なるシステムとしての完成度を高めていきます」と、明るい展開も見据えている。

Biz∫会計には、日本の商習慣を踏まえた多彩な機能が備わっている。最新のビジネス要求・システム要求に応えるため、SCAW財務管理で培った業務ノウハウをSOA・クラウド対応の先進のアーキテクチャで実装・強化。スピード経営・グループ経営の時代にふさわしい会計パッケージとして、新規導入時のあらゆる要望にもフレキシブルに対応できる柔軟性を持つ。SCAW財務管理からのスムーズな更改を実現できた本事例は、ERPシステムの更改に不安を抱える多くのIT部門担当者を勇気づけてくれるに違いない

導入パートナーからの一言

今回、導入期間6ヶ月というタイトなスケジュールの中で、「導入会社4社の科目統合」、「過年度移行」、「他システム連携の更改」など課題は多々ありましたが、 現行システム(SCAW)導入時代からお付き合いのあるお客様との信頼関係を大切に、弊社が積極的に舵を取り、要望・課題解決に向けた検討や提案など手厚いサポートを心掛け、取り組みました。

短期間システム更改という目標に向かって、お客様とともに一丸となってプロジェクトを推進したことで、品質の確保、スケジュール通りのサービス開始、新会計システムへのスムーズな切り替えを実現することができました。

お客様には、積極的に新システムをご理解いただき、通常業務と並行して協力的に対応いただけたこと感謝しております。

今後ともお客様のお役に立つことができるよう、安定したより良いサポートを目指して尽力してまいります。
株式会社NTTデータビジネスシステムズ 第一システム事業本部 Biz∫ソリューション事業部 会計ソリューション部
中嶋 ゆかり

会社概要

会社名昭和シェル石油株式会社(昭和四日市石油株式会社、東亜石油株式会社)
代表者代表取締役会長 香藤 繁常
設立1985年1月1日(昭和60年)
資本金341億9,758万5,900円
従業員数953名(2013年12月現在)
事業内容
  • SS(サービスステーション)向けガソリン販売などの石油事業
  • エネルギー・ソリューション事業
※本事例に記載の情報は、2014年6月時点のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。 ※本事例は、株式会社NTTデータビジネスシステムズのサイトから転載したものです。