本記事では、「機械商社が抱えるバックオフィス業務の共通課題」に注目し、解決へのアプローチを考察、紹介します。機械商社における、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進の一助になれば幸いです。


株式会社ビジネスブレイン太田昭和(BBS)
西日本統括本部 大阪支店営業部
井上 航志

1.機械商社の役割

 機械商社は、工場で使用される機械や設備、工具関係をメーカーから仕入れて販売する事業者であり、市場における重要な中間流通業者として機能します。

機械商社の主な役割詳細
提案力顧客が知らないような各メーカーのサービスや新たな工法などを提案し、顧客の生産性向上や工場環境の改善を実現する
アフターサービス何かトラブルがあった時に迅速に対応する
※メーカーの対応が難しい時や判断がつかない時には、商社が間に入ってトラブルを解決
金銭的リスク商社は顧客とメーカーの間で金銭的リスクを負う
海外との連携生産拠点を海外に移転する顧客企業の国際的な物流機能を担う

 以上のように、機械商社は工場や生産ラインの機能維持と向上、そして顧客とメーカー間の橋渡し役を果たすなど、製造業の生産体制を支える重要な役割を果たしています。

2.機械商社が抱える具体的な課題

 ひとことで「機械商社」といっても、取り扱う品目は 千差万別です。具体的には、自動車、航空機器、家電、重工、住宅資材、精密電気部品、農機、建機、生活雑貨、化粧品、家具、プラント資材、工場資材、産業機械等、様々な業界の工場に機械を販売しています。
 しかし、バックオフィス業務においては、各社が共通の課題を抱えているケースが多いことが明らかになってきました。

機械商社が抱えるバックオフィス業務の共通課題

 ① メーカー指定のWebEDIとの連携
 ② 与信確認・稟議申請/承認フローの電子化
 ③ 仕入先とのリベート管理

1つずつ、課題の具体を解説していきましょう。

① メーカー指定のWebEDIとの連携

機械商社のEDI活用の課題

 WebEDIは、企業が供給者や顧客とデータを電子的に交換するためのシステムです。

 機械商社は、仕入先(機械メーカー)が提供するWebEDIを利用し続けねばならない実情があります。多くの仕入先(機械メーカー)と取引をする機械商社にとっては、EDIシステムごとに様々な対応が必要となります。

 具体的には、データ形式の変換や、新たなインターフェース開発などが挙げられますが、その対応には莫大な時間や人的リソースが不可欠です。

 また、EDIのデータセキュリティも重要な課題です。データを安全に送受信するための適切な暗号化とセキュリティプロトコルが必要です。

② 与信確認・稟議申請/承認フローの電子化

与信政策プロセス

 与信確認は、取引先の信用情報をチェックする重要なプロセスです。
一般的な商社の利益率は数%程度と低く、得意先から売上を回収できなくなると致命的です。また、仕入先の信用度や支払条件などの諸条件を、組織全体でチェックし、取引リスクを最小化する必要があります。

これらの業務プロセスが紙ベースやメールベースで行われていると、情報の共有や追跡が難しくなり、エラーや遅延が生じる可能性があります。

③仕入先とのリベート管理

仕入先とのリベート管理

 リベートは、仕入れ量に応じて仕入先から受け取る割引または返金のことを指します。
 これらのリベートを正確に追跡し、計算するには、複数の仕入先や契約条件を管理する必要があるため、複雑で時間がかかる作業となります。また、リベートの計算誤りや適用忘れは、企業の収益に直接影響を与えます。

3.機械商社が抱える「スクラッチシステム」の老朽化が業容拡大の足かせに

 上述した業務に対応するため、多くの機械商社ではバックオフィスシステムをスクラッチ開発して利用しているケースが多いです。

 しかし、長年にわたり機能やプログラムを継ぎ足し、継ぎ足し使ってきたスクラッチシステムの老朽化により、昨今の情報活用、ひいてはDX推進の足かせ、阻害要因となっています。

 また、老朽化したシステム基盤を維持するための開発技術者は年々枯渇し、将来的に既存システムを利用し続けることは、もはやリスク以外のなにものでもありません。

4.柔軟性に長けた製品/サービスを組み合わせ激変する社会に備えよ

 著者は、密な1つのシステムとして捉えるのではなく、各々が独立しながらも「疎な関係」で情報連携できる仕組みを推奨します。

従来のシステムと疎結合型のシステム

 機械メーカー(仕入先)と顧客の中間流通業者を担う機械商社は、取引先のニーズを柔軟かつ迅速に実現し続けなければなりません。

 上述した業務課題を、モノシリックなシステムとして実装してしまうと、仕様変更のたび全業務へ影響を及ぼします。結果的に、業容変化への対応の足かせになってしまうのです。

 一方、疎結合型で構築された仕組であれば、取引先のニーズの変化でシステムの改修を行う際にも影響範囲は限定されます。取引先ニーズへの対応を加速するためには、独立したシステムを緩やかに連携させる必要があるのです。

 著者は、ERPパッケージ「Biz∫」をベースに、機械商社向けのバックオフィスソリューションを提案しています。

提供するソリューションの特長

・仕入先ごとに異なるWebEDIと連携できるよう、インターフェースの柔軟性を持たせるツールを用意
・取引先ごとの与信管理は、ワークフロー分野で国内外に多くの実績を持つ「intra-mart」というシステム基盤により、個社に最適な与信管理を実装
・複雑なリベート管理についても、ERPパッケージ「Biz∫」を活用した実装ノウハウを体系化

機械商社向けERPのシステム構成

 本記事をご覧いただいた機械商社様において、バックオフィス領域におけるシステム課題の解決に向けて苦悩されている場合、お気軽にお問い合わせください。

株式会社ビジネスブレイン太田昭和(BBS)
西日本統括本部 大阪支店営業部
井上 航志

・1999年にERPメーカーに入社し、16年間にわたり、多くの業界と企業に対してERPソリューションを担当し、幅広い営業経験を積む。
・2015年に経営管理ソリューションメーカーに転職。大手企業を中心に、新たな領域の営業経験を積む。
・2017年にビジネスブレイン太田昭和に転職。現在までの6年間、基幹業務を中心としたソリューション(コンサル・SI)提供営業として担当。
 特に近年では、機械商社業界に焦点を当て、数多くのクライアント企業の課題に直面。  
累積24年間の営業経験を持ち、それぞれの業界とクライアントのニーズに深く入り込み、最適なソリューション提案活動を現在も推進中。

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