本社と工場間の会計・経理業務を統合 製造業の精緻かつ迅速な管理会計へ

製造業では、本社と工場間で経理部門が分散していることがあります。こうした体制は、全社的な意思決定の精度を向上し、経営をスピードアップする管理会計を実現する上で不利になる場合もあります。グループマネジメント高度化の観点から本社と工場間の会計・経理業務の統合を進めることが、現在の製造業に求められる「モノからコトへ」のビジネスモデル転換、ひいてはDXへの足掛かりとなります。

製造業向けERP

外資系ERPのビッグバン導入で顕在化した理想と現実のギャップ

製造業が他の業界と異なるのは、何といっても工場という拠点を持っていることにあります。一般に工場の独立性は非常に高く、本社よりも多くの従業員が勤務しています。そうした中で、経理部門が本社と各工場で分散している企業も数多く見られます。

製造業向けERPで本社と拠点間を連結

具体的に工場側と本社側ではどんな役割分担がなされているのでしょうか。当然のことながら双方とも出納業務を行っていますが、工場の経理部門はそれ以外にも固定資産の資産計上、間接資材の調達・購買、原価計算などを担っています。一方で本社側が担っているのは、主資材の調達・購買や財務会計などです。

本社側としては管理会計にも力を入れたいところですが、粒度が細かく精度の高いデータを収集することが難しく、実現は困難です。意思決定のスピードアップ、経営の高度化を目指す上で、これは製造業にとって課題となっています。

そこで大手を中心とする製造業で取り入れられたのが、外資系のERPパッケージをビッグバン的に導入し、生産管理からサプライチェーン管理、原価管理、会計まですべての業務を本社側に統合するというアプローチです。

ただ、これにもやはりさまざまな問題が生じています。会計・経理業務は統合できたとしても、逆に他の業務で弊害が生じてしまうのです。特に原価管理は欧米流の考え方に偏りすぎていて、日本の製造業にはなじまない面が多々あります。当初は業務を標準化するという狙いを持ってERPを導入するのですが、基本機能では対応できない業務が山のように出てきてしまい、結局は手作業で対応せざるを得ないなど、理想と現実の間に大きなギャップを抱えつつパッケージを運用しているのが実情です。

そもそも外資系ERPはライセンス費やインフラ維持をはじめとする運用コストがかかりすぎて、中堅以下の製造業には負担が重く手を出せないという問題があります。

複数パッケージを適材適所で連携させるという現実解

より現実的な課題解決のアプローチとなるのは、複数のパッケージを適材適所で組み合わせるという方法です。生産管理やサプライチェーン管理、原価管理といった業務は、自社の生産形態や業態にあった専用パッケージを選定します。その上で会計業務については業務を標準化するという観点から別のパッケージを導入し、相互に連携させるのです。

これならば先に述べたような理想と現実のギャップに悩むことなく、比較的容易に業務をパッケージにあわせていくことが可能となります。

もっとも、世の中には会計パッケージは多くの製品があり、どれを選べばよいのか迷うかもしれません。その際、工場などの拠点を多く抱えている企業の場合、グループマネジメントに強い会計パッケージを選ぶことが得策です。

多くの製造業は、本社と工場の間を取引先と見立ててさまざまな経理処理を行っています。例えば主要な資材の調達・購買は本社が一括して行い、各工場に卸すという方法をとっています。この過程で発生する資材の仕訳や仕入原価の付け替え、利益の相殺といった経理処理を、法的な要件を満たした上で効率的に行えることが重要な要件となります。

Biz∫で管理会計の精緻化をサポート

NTTデータ・ビズインテグラルの「Biz∫会計」は、グループマネジメント高度化の観点から、本社と工場間の会計・経理業務の統合を実現します。本社および各工場が処理している仕訳、残高、セグメント別残高、月次状況などのデータをグループ連結データベースに集めて一元管理することで、企業全体の情報を可視化することができます。

Biz∫会計はシェアードサービス形態での利用に適しており、同じ基盤を本社と各工場との間で効率良く共同利用することが可能です。また、全社共通のマスタを配信したり、本社と工場間の取引を相殺したりといった処理にも対応し、企業全体としての効率的な業務運用をサポートします。

加えてBiz∫会計ならではの強みとなっているのが管理会計への対応です。先ほど、本社側は粒度の細かい、精度の高いデータを収集が難しいことに触れましたが、Biz∫会計は自由に設定可能な20種以上の「分析コード」を持たせることができ、パッケージの仕様上の制約を受けることなく管理会計のニーズを満たすことができるのです。

組織別や地域別の損益、あるいは工場ごとの損益といったデータは、従来から本社側でも管理できていましたが、Biz∫会計の分析コードを用いることで、製品別や顧客ごとの損益などより細かい粒度のデータを把握できるようになります。

製造業のサービスビジネスへのシフトにも

さらに今後に向けて、Biz∫が大きな効果を発揮することになると考えられるのが販売機能の拡張です。

現在、多くの製造業は不確実性を増すグローバル市場での生き残りをかけたDX(デジタルトランスフォーメーション)が求められる中で、これまでのような製品の売り切りビジネスから、より付加価値の高いサービス主体のビジネスにシフトしていく、いわゆる「モノからコトへ」のビジネスモデル変革を推進していこうとしています。

ここでいうサービスには、例えばIoTの仕組みを用いた遠隔からの運用監視、SaaS型アプリケーションの提供、コンサルティングなどが挙げられます。そしてこれらのサービスの提供方法は、従量課金や定額制などのサブスクリプションであったり、パートナーやサードパーティを巻き込んだマーケットプレイスを通じたものであったりすることから、従来のB2B取引とはまったく異なる多様な販売形態に対応していかなければなりません。

Biz∫では販売管理に対応した「Biz∫販売」を提供するほか、システム共通基盤となっているintra-martを活用することで、多様な販売形態に対応するためのさまざまな業務をデジタル化し、そのプロセスをつないで自動化することが可能となります。

具体的にはintra-martは、プログラミング知識がないユーザーでもドラッグ&ドロップのような簡単な操作だけでローコード開発を可能とする豊富なAPIコンポーネントを取り揃えています。 このような拡張性を生かして、複雑な販売形態に対応したワークフローやシステム間連携を実現し、ビジネスの変化に対応できる業務体制の構築を支援していきます。