レガシー化した会計システムを全面刷新
~ワークフロー機能を活用して業務を効率化し、攻めの経営を実現する管理会計を強化~
目次
導入前の課題と効果
導入前の課題
- スクラッチ開発した基幹システムの老朽化により新しい技術の採用が困難
- 今後の国際会計基準(IFRS)対応を含め、会計制度変更への柔軟な対応が必要
- 紙に印刷した伝票による承認手続きからの脱却
導入効果
- 従来からの財務会計のみならず攻めの経営を支える管理会計基盤を強化
- 電子帳簿保存法など法令変更にもパッケージ側で柔軟に対応
- 伝票・帳票やワークフローの電子化による申請-承認プロセスの効率化
「Biz∫」導入経緯
― 会計システムを刷新した経緯を教えてください。
内田様
会計システム刷新の直接的なきっかけは、「ACU(アキュ)」という現行の基幹システムが老朽化で限界に達していたことにあります。
経営環境に左右されない強い事業基盤を構築するためにも、将来の業容拡大に向けた柔軟に対応できるシステムインフラが必要でしたし、法改正対応や複雑化・属人化した業務プロセスの改善といった課題にも対応する必要がありました。
いまだに紙の書類で業務を回しているACUでは、こうした変革に耐えられないことに加え、コロナ禍による在宅勤務推進から危機感を募らせていました。
照井様
ACUについて少し補足すると、この基幹システムはシステム名称の由来でもあるACUCOBOLでスクラッチ開発したものです。
拡張を重ねながら長年にわたって運用を続けていたのですが、ACUCOBOLはすでに保守が切れており、OSもバージョンが古く最新サーバーに移行できない状況にありました。その意味で現行サーバーの保守期間が終了する2024年はまさにデッドラインであり、ACUを継続するという選択肢はありませんでした。
「Biz∫」選定理由
― 現行のACUと同様にスクラッチ開発するのではなく、今回はパッケージに方針を転換し、「Biz∫」の採用に至った理由を教えてください。
多々納様
現在のITチームは人数も限られており、スクラッチ開発に対応できる体制にはありません。
また仮にスクラッチ開発するとなれば、多大なコストと時間を費やしてしまうことになるので、当初からパッケージ導入を想定していました。
内田様
これまで当社では日本会計基準に沿った連結決算を行ってきましたが、今後さらなるグローバル化を推進していくにあたり、国際会計基準(IFRS)に適切に対応していく方針を打ち出しています。また、電子帳簿保存法やインボイス制度に象徴されるように、会計制度そのものも次々に改正されていきます。
こうした変化に個社単位で追随していくのは困難であり、会計に関する専門的な知見のもとでタイムリーにアップデートが行われるBiz∫は、私どもにとって最適な会計パッケージであると判断しました。
現行のACUでは機能面や性能面の制約から財務会計にしか対応できませんでしたが、今後はデータドリブンな“攻めの経営”を推進していくためにも、管理会計を重視していこうとしています。この点においてもBiz∫は詳細データとして分析キーを多く保持できるため、多軸分析への展開に向けて私どものニーズを満たしていました。
導入プロジェクト
― これまでの導入プロジェクトの進捗状況をお聞かせください。
小川様
プロジェクトがキックオフしたのは2020年6月1日です。
新型コロナウイルスの感染拡大と時期が重なり、関係者との対面ができなかったのは想定外でしたが、NTTデータビジネスシステムズの的確なリードもあったおかげで、Web会議によるミーティングでもほとんど支障なく今日までプロジェクトは進みました。
照井様
苦労したのは、新基幹システムを構成するモジュール間でのデータ連携です。今回の基幹システム刷新において会計部分はBiz∫を採用しましたが、生産管理や販売管理に関しては他社のSCMシステムを採用しており、この2つのパッケージ間の連携が必須だったのです。
Biz∫については2021年10月にまず子会社2社で先行運用を開始したのち、12月にエステーでの本番運用を開始しました。SCMシステムが運用を開始したのは、翌2022年4月のことで、2つのパッケージをつないだテスト段階では多くのエラーが発生しました。ただし、これは技術的な仕様に起因する問題ではなく、SCMシステムから送られてくる仕訳データの書式の齟齬によるものであり、当社およびNTTデータビジネスシステムズ、SCMシステム側のSIerの3社間の調整によって解決し、同年5月以降は問題なく連携運用を行っています。
これをもって基幹システムの刷新プロジェクトは、一通りの完了となりました。
「Biz∫」導入後の効果
― Biz∫を導入したことで会計業務はどのように改善されましたか。
小川様
ワークフロー機能を有するintra-mart® (イントラマート) を基盤としているBiz ∫を活用することで、各種伝票の申請から承認までの手続きがすべてデジタルで完結するようになりました。これによって以前のように会計システムにデータを入力した後、あらためて伝票を印刷し、チェックに回すといった煩雑な手間は解消されています。また、たとえば請求書の承認がどの部門のどの責任者まで回っているのか、経理担当者はリアルタイムで進捗状況を確認することが可能となり、月次決算などの業務は効率化しています。
また管理会計の観点から述べると、以前は承認済みの伝票を会計データとして閲覧できるのは夜間バッチ処理を経た翌日でしたが、現在は承認済みの伝票はもとより申請中の伝票まで、すべての会計データはシステムに入力された時点で閲覧することが可能です。より迅速な財務数値の把握に貢献しています。
内田様
もう1つ付け加えると、Biz∫には多様な外貨に対応した為替レートも管理できるため、数値管理をより精緻化するための取り組みが一歩前進したと考えています。
今後の展望
― 今後に向けてはどんな計画や構想をお持ちですか。
内田様
2023年6月20日に代表執行役社長に就任した上月は、変化に対応できるスピード経営を目指した「全員経営」という方針を示しました。今後、持続的成長に向けた投資を行い、激動の時代を生き抜く強靭な体質への改善を図っていこうとしています。
特に注力していきたいと考えているのは、予実管理の強化です。各部門あるいは個人単位でもしっかり数値を見ながら、データドリブンを実践していくことが重要です。これが「全員経営」へとつながっていきます。
多々納様
「全員経営」をITからも後押ししていくため、たとえばBiz∫とBIツールを連携させるなど、現場レベルのより高度なデータ分析を可能とする環境整備の必要性を感じています。同時にデータ分析を人に依存するだけでなく、データ活用の自動化に向けた取り組みにも注力していきたいと考えています。
パートナーからの一言
宇野様
徳田様
今回の基幹システム刷新プロジェクトを通じて、会計領域におけるBiz∫の導入支援を担当させていただきました。そこで提供してきた技術サポートや実装してきた機能、課題解決について、エステー様より高いご満足をいただけたと自負しています。
今後に向けては、「全員経営」や「攻めのIT」といったお言葉もいただきましたが、そういった観点から私どもが貢献できるのは、やはりデータ分析の領域であると考えています。
NTTデータビジネスシステムズは、Biz∫に蓄積された詳細な会計データをもとにしたデータ分析を支えてきた実績があり、そうした中で培ってきたノウハウやベストプラクティスの提供を含め、エステー様のチャレンジにしっかり寄り添っていく所存です。
企業紹介
会社名 エステー株式会社
1946年創業。「空気をかえよう」をコーポレートスローガンに掲げてグローバル・ニッチ市場でのNo.1を目指し、消臭芳香剤「消臭力」、防虫剤「ムシューダ」、脱臭剤「脱臭炭」、除湿剤「ドライペット」、米びつ用防虫剤「米唐番」など、高いマーケットシェアを占める独自性の強いブランドを数多く保有している。
https://www.st-c.co.jp/
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