グループ全体の会計システムをBiz∫の標準機能だけで実現
~Fit to Standardを志した背景と実現に向けた苦労~
目次
導入前の課題
- 旧会計システムには、200を超えるアドオン開発がされており、業務改革の障壁になっていた
- 非効率な作業や属人的な作業が残存していた
- 業務効率化・標準化を実現し、事業環境に適した人員配置を実現することで西武グループの成長につなげたい
導入効果
- Biz∫が備える標準機能に業務を合わせるFit to standardを進めたことで、現場の意識改革が進んだ
- 証拠書類はすべてPDFに。紙の伝票の管理も不要になり、ペーパーレスが浸透
- 無駄な作業がなくなり、デジタルを前提とした働きやすい職場環境、西武グループ全体で最適な経理業務実現に向けた基盤を構築
「Biz∫」導入経緯
― 貴社の事業についてお聞かせください。
石田様
西武ホールディングスは「でかける人をほほえむ人へ」をスローガンに、お客様の生活を応援する企業グループとして都市交通・沿線事業、ホテル・レジャー事業、不動産事業などを展開しています。
この3年ぐらいはアフターコロナの社会において目指していくことを見据えながら、飛躍への道筋をつけてきました。長期的には、レジリエンス&サステナビリティをテーマに、想定外の危機にも柔軟に対応し、さらなる成長を作り出し、安全・安心とともにかけがえのない空間と時間を作り出していくことを願って挑戦を続けています。
― Biz∫の導入に至った経緯、以前抱えていた課題についてお聞かせください。
石田様
会計システム刷新プロジェクトに取り組んだのは、コロナ禍が始まる前でした。将来的に労働人口が減少し人材確保が難しくなることが見込まれる中で、より一層の業務効率化、生産性向上が求められていたのです。
以前は、同じ会計システムをグループ全体で用いていたものの、会社ごとに使い方が異なっていたために、経営が求めるスピードで変化に対応することが困難でした。そこで、会計システムを刷新し、会計の業務を標準化、グループ全体として共通化を図ろうと動き出しました。
金國様
旧会計システムでは、さまざまな使い方に対応するために、200を超えるアドオン開発を行っていました。そのためバージョンアップの際には多額のコストと相当な対応時間がかかっていた一方で追加された機能が利用できない状況だったのです。
「Biz∫」選定理由
― Biz∫を選定した理由についてお聞かせください。
石田様
新会計システム導入は守りのDXの役割を担う取り組みでした。
金國様
アドオン開発が増える、グループ会社ごとに使い方が異なるという問題を解消するために、各候補企業にRFI、RFPを通じて「標準機能に業務を合わせる」「アドオン開発しない」と呼びかけて会計システムを探しました。
そのうえで「グループ各社の実際のユーザーから挙がってくる要望に応えられる機能を持ったシステムに」という考えのもとに選ばれたのがBiz∫でした。新会計システムをリリースしたのは2022年、選定から開発までには足掛け3年のプロジェクトになりました。
― グループ企業を超えた議論も行われましたか。
上杉様
以前は、使い方が各社で異なることもあり、他のグループ会社の経理担当者と話す機会はめったになかったのですが、今回Biz∫を導入するにあたってはグループ全体での共通化を図ったという点で、他のグループ会社の経理担当者と連絡を取り合い、「この機能はどう使うべきか」「こういう事象にはどう対応すべきか」など、さまざまな相談をしました。
導入企業
― 導入プロジェクトはNTTデータビジネスシステムズが実施しましたが、決定した決め手をお聞かせください。
佐藤様
NTTグループの一員であるといった信頼性と、しっかりした導入実績。それらに加えて、西武グループ全体にわたるような大規模な導入にも耐えられる企業という観点から選定しました。
金國様
アドオン開発を避け、「標準機能だけで実現する」という私たちの思いに共感をしてくれたうえで、可能な限りBiz∫標準機能や、パッケージのアドオンカスタマイズ外の開発での業務の実現案を提示していただいた点は、一番の決め手になりました。
佐藤様
そうですね。NTTデータビジネスシステムズからは、プロジェクトに対する真摯さ、何が何でも完遂させるぞといった意志の強さは当初から伝わってきました。
プロジェクトは山あり谷ありで、途中で問題も生じるものですが、その都度、適切な人材を補充して対応していただいたことで、大規模なプロジェクトにも関わらず非常にスムーズに進んでいったと感じています。
金國様
各開発・業務領域チームに、非常に信用、信頼できる方を配置してもらった点も印象に残っています。
「Biz∫」製品
― Biz∫に対してはどのような印象を感じましたか。
金國様
国産ERPである点に加えて、製品そのものの魅力、ユーザーファーストな支援体制を感じました。
アドオン開発をしないという前提で開発を進めると、「欲しい機能が実現できないかもしれない」という場面もあったのですが、NTTデータビジネスシステムズは、Biz∫のノウハウから運用事例を参考に「標準機能を工夫することで実現できないか」と、細かい提案を繰り返してくれました。
また、私たち自身も考え方を大きく変える必要がありました。以前なら、機能が足りなければアドオンで開発しようとしていましたが、今回は「何を目的にその業務を行っているのか」と根本から見つめ直しつつ、「Biz∫でどう実現できるか」と議論しました。自分たちの業務を改めて見つめ直したことで、新しい標準的なやり方を作るという意識が浸透していきました。
佐藤様
インフラ面から見ると、標準といっても、他の周辺システムとデータ連携させる部分は開発しなければいけません。その点、NTTデータビジネスシステムズは既存の周辺システムの仕様を非常によく理解してくれて、開発も切り替えもスムーズに進みました。
本稼働後の効果
― Biz∫の導入後、どのようなメリットがありましたか。
上杉様
経理業務の現場の立場から言いますと、今までは紙の請求書を受領して会計システムに打ち込み、伝票と請求書を上司に渡して押印して承認をもらう形でした。Biz∫導入後は、証拠書類をPDF化して伝票と一緒に添付して電子承認を回す形になったので、ペーパーレスが一気に進みました。
承認者である上司が離れたところで勤務しているケースもあるので、場所を選ばずに会計処理が進められるようになったのは、働き方にも影響を与えています。
紙の伝票のファイリング、倉庫での保管の負担もなくなり、その分の労力を他の業務に当てられるようになっています。
― Biz∫を使ってみての感想をお聞かせください。
上杉様
経理部門としても便利な機能がいくつかありました。例えば逆仕訳計上機能※1、経過勘定振替機能※2などですね。今まで手入力していた伝票がかなり減っただけでなく、入力漏れの防止にもつながっています。
また、Biz∫はリアルタイムに帳簿に反映されるシステムになっています。そのため入力後、即時に帳簿による結果確認ができる点は経理にとって非常にありがたい機能です。これによって、締め日までにいろいろ確認、修正がしやすくなっています。
― 刷新に合わせて業務改革にも取り組みましたが、その効果は感じられますか。
上杉様
大きく変わったのは発生源入力です。以前は経理が入力する、あるいは各部門にいる入力担当者が経理処理をするところから処理がスタートしていたのですが、Biz∫に刷新してからは業務の担当者が入力し、直属の上司が承認していくというフローに変わりました。
業務内容をしっかり把握している本人が入力し、その上長が承認する、つまり従業員全員が自分の発注したものに対し、自分自身で経理処理する、請求書を発行することになりますから、意識がまったく違ってくると感じます。
まだまだBiz∫の便利な機能を使いきれていない部分もあるので、今後も継続的にNTTデータビジネスシステムズさんに相談しながら使い方を習熟し、業務効率性を高めていきたいと考えています。
将来展望
― どのような将来展望をお持ちですか。
石田様
新しいビジネス、業務、働き方にいかにしなやかに対応していくかが、これからのバックオフィス変革の大きなテーマと思っています。それにはBiz∫のようなシステムの進化が欠かせないと思っています。
現状のBiz∫も使いやすい製品だと感じていますが、将来起こるであろう社会の変化、技術の発展にも対応して、Biz∫も大きな進化をしてほしいと願っています。
パートナーからの一言
今回の会計システム刷新プロジェクトにて、Biz∫会計の導入支援を担当させて頂きました。
「Fit To Standard」を目指すお客様は昨今増えておりますが、西武ホールディングス様ほどの大規模導入では、ステークホルダーも多くなりアドオンカスタマイズ「0」をやり
切れることは、稀有です。
プロジェクトに際しては、西武ホールディングス様の導入担当者様と弊社開発・営業
メンバが一丸となって取り組ませて頂き、弊社のBiz∫に関する豊富な事例から標準機能
での業務実装案をご提案するなど支援をさせて頂きました。
業務実装案に関しては、西武ホールディングス様からのステークホルダーへのご説明
を下支えさせて頂き、当初の目標「Fit To Standard」の実現に至りました。
本プロジェクトを通じて「Fit To Standard」の目的達成に向けては、
お客様グループ全体での初志貫徹に向けた強い目的意識と行動、
機能豊富なパッケージ製品、下支えする経験豊富な導入パートナーが揃って
初めて実現出来るものと考えております。
NTTデータビジネスシステムズは、グループ会計導入・運用の実績が豊富にあり、
ノウハウやベストプラクティスの提供を含め、西武ホールディングス様の今後の
ご発展を下支えさせて頂く所存です。
また、NTTデータビジネスシステムズは、池袋に拠点を置いていることもあり、西武鉄道様の地域貢献活動協賛し取り組ませて頂いております。
企業紹介
株式会社 西武ホールディングス
2006年、西武グループの持ち株会社として設立。グループ全体の経営戦略策定や経営、資金管理をしつつ、広報の展開やコンプライアンスの推進などを行うことで、西部グループの価値向上、ガバナンス体制の構築に取り組んでいる。
※2 経過勘定とは、現金の収支と収益や費用を計上する時期にズレが生じた場合に、そのズレを調整するために用いる勘定科目のことで、Biz∫では、前受収益・前払費用等の経過勘定の期間管理、一括・自動振替処理に対応しています。
導入事例資料
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