Biz∫導入で効率化とコスト削減を実現

~変化に柔軟に対応する基幹システム構築への軌跡~

導入前の課題

  • 老朽化したシステムが全社生産性向上の足かせとなっていた
  • 会計の伝票類の多くを紙で運用していたため非効率だった
  • 伝票入力業務効率化による決算早期化や多面的収益管理による業績管理改革を実現したかった
矢印のイメージ図

導入効果

  • 新システムへの移行により、システム間連携の不整合を解消
  • Biz∫会計で処理を行う伝票類のほぼ全てをペーパーレス化し効率化とコスト削減を実現
  • 会計データの可視化と分析により多面的収益管理による経営判断の迅速化に貢献

導入前の課題

―― 貴社の事業概要についてお聞かせください。

塚原様

株式会社J-オイルミルズ
情報システム部
アプリケーショングループ長
塚原 晃勇 様

当社は、日本の製油業界のさらなる成長を実現する「世界に通用する製油企業」を目指し、100年以上の歴史を有する3社(株式会社ホーネンコーポレーション、味の素製油株式会社、吉原製油株式会社)が2004年に合併。新たに「J-オイルミルズ」として誕生しました。

現在、当社の事業は大きく2つの柱で構成されています。1つは油脂事業。主に海外から原料を輸入し、キャノーラ油、オリーブオイルなど多様な種類の油脂と油糧(ミール)に加工しています。企業ミッション「おいしさデザイン」を実現するため、安心・安全を基本に、幅広い用途に使われる汎用品から、調理・調味・健康の各機能を有した高付加価値品までを幅広く展開しています。

もう1つの柱はスペシャリティフード事業です。マーガリン・ショートニング・粉末油脂などの油脂加工品、スターチ(でんぷん)を中心とした機能改良素材などを取り扱っています。これらの事業を通じて、おいしさ、そして人々の健康、社会や環境の負荷抑制に貢献し、未来のよろこびを増やしたいという思いが、私たちの目指すべき未来「Joy for Life ― 食で未来によろこびを ― 」に込められています。

―― Biz∫導入以前の会計システムにおける課題についてお聞かせください。

塚原様

今回取り組んだ会計システムの刷新は、「AVC(Adapt to Various Changes)」(変化に対応した基幹システム構築)と名付けられた基幹システム再構築プロジェクトの一環で行われました。当社が発足した2004年から、合併前の3社それぞれが活用していたシステムを、抜本的な改修をすることなく継続運用していました。しかし、近年は老朽化が進み、システム間連携部分で不整合が発生するなど、全社生産性向上の足かせとなりつつあったのです。

以前の会計システムはパッケージ製品を活用していたのですが、保守料金が高額化することでコスト負担の問題もありました。また、会計の伝票類の多くを紙に出力し、捺印して回付するといった旧来の運用を行っていたため、非効率だった上に、紙の保管場所も問題となっていました。AVCプロジェクトにおける会計システムの刷新では、伝票入力業務効率化による決算早期化や、多面的収益管理(BS, PL)の実現による業績管理改革と並行して、ペーパーレス化も同時に推進したいと考えていました。

導入企業

―― 会計システムの更改はNTTデータ・ビズインテグラルのパートナーであるタクトシステムズ株式会社が実施しました。
  選定の理由や導入過程の印象についてお聞かせ下さい。

塚原様

タクトシステムズは、最初の提案から当社が目指したものに沿った内容が示されていたほか、タイトなスケジュールで様々な要件をお願いしてもスピード感をもって親身に対応してくれるパフォーマンスが特に印象的でした。一度仕切り直しがあり、再度提案を依頼した際も、設計書などが他社と比べて優れていた上に、ドキュメント類も非常にわかりやすくまとめられていたことから、選定を決めました。

導入過程においても、Biz∫会計についての知見が豊富で、どんな質問をしてもすぐに答えが返ってきたことが大きな助けとなりました。プロジェクトが大詰めになってくるとテストも逼迫し、追加要件も増えましたが、タクトシステムズが臨時の体制強化に応じてくれたのでなんとかスケジュールに間に合わせることができました。支援を惜しまず柔軟に対応してくれたおかげで、プロジェクトを成功裏に完遂することができたと高く評価しています。

「Biz∫」選定理由

―― Biz∫会計をはじめとしたBiz∫シリーズに注目されたポイントをお聞かせください。

塚原様

2019年頃から、様々なパッケージ製品を調査対象とし、情報収集やデモストレーションを行う中にBiz∫も含まれおり、当時から注目していました。その理由として、まず国産ERPならではの日本企業の業務に適したきめ細かな配慮がなされていたことが上げられます。会計システムは各社の機能に大きな差はありませんが、外資系ERPは商習慣の違いや日本語化対応の遅れなど馴染みにくい部分が残ってしまいます。その意味でも国産ERPが導入しやすかったことは確かです。また、Biz∫は各種のテンプレートが当社のビジネスに適合していたほか、操作性やUIも優れていたので好感が持てました。さらに、intra-martとの相性が良く、会計システム内の作り込み部分との連携性や拡張性が高いことも評価できました。そうした総合的な判断で、Biz∫ならば安心して活用できると感じました。

導入後の効果

―― Biz∫稼働後の効果やメリットについてお聞かせください。

塚原様

Biz∫へ更改後の効果は主に3つ挙げられます。1つ目は、業務のスピードアップと効率化の実現です。従来の会計システムにはワークフローの機能もなく、会計伝票は紙を出力し捺印して経理部門に回付していたので時間がかかり、担当者が外出していれば処理はさらに数日かかっていました。また、システムの中でデータは確認できたものの、現物の帳票を最終的に確認したり照合したりする必要がありました。更改においてはBiz∫会計のほかにBiz∫フロントなども導入し、ワークフローも含めて紙の帳票をほぼ全て電子化したことで業務処理がスピードアップ。管理の手間が削減されて効率が大きく改善しました。

2つ目は、会計データの可視化です。今回はワークフローの基盤となる統合マスタシステムをintra-mart上に構築したので、複数の既存システムとBiz∫が共存していることが特徴です。マスタや組織・ユーザなどの情報も共通化できたほか、DWH(データウェアハウス)に会計データを含めた基幹データを蓄積することで、全社員に対してそれらデータの見える化を行い、参照・連携・利活用やBI(ビジネスインテリジェンス)による分析も可能にしました。また、リアルタイムな会計データの可視化によって経営判断の迅速化にも貢献しています。これまでは業績を見る際にPL(損益計算書)は見ていたものの、事業別のBS(バランスシート)はあまり見ておりませんでした。事業別BSをベースに資産の効率性も可視化することはプロジェクトの目的の一つでもありました。

3つ目は、ペーパーレス化です。現在は、Biz∫会計上で処理を行う伝票類のほとんどで電子化・PDF化が行われています。最初は慣れない中で現場の社員にもかなり協力いただき、独自に手順書やマニュアルを作って運用してもらった結果、紙の伝票がほぼゼロとなり効率化とコスト削減が実現しています。紙の保管も不要になったので、事務所スペースや倉庫もより有効的に使えるようになりました。

今後の展望

―― 今後実現したい改善のポイントがあればお聞かせください。

塚原様

Biz∫の豊富な機能を更に使いこなしながら、活用を深めていくことが当面の目標です。また、今後は関係会社においてもBiz∫の活用を推奨し、重複した業務をシェアード化することも視野に入れる必要があると考えています。データ形式やフォーマットも共通化することができるので、連結会計による正確な経営情報の把握や財務の透明性強化、決算の早期化も可能になると想定しています。さらに、Biz∫の販売、人事給与、原価計算などの機能追加も検討の余地はあると思っています。intra-martにワークフロー機能を統合したり、基盤上にスクラッチで構築したりすることで基盤のメリットを活かせるのではないかと期待しています。

パートナーからの一言

タクトシステムズ株式会社
第1システム事業部
システム開発2部 シニアコンサルタント
渡辺 誠 氏
タクトシステムズ株式会社
第1システム事業部システム開発2部
ERP-会計グループ長
平山 潤一 氏

J-オイルミルズ様、特に会計業務に深い造詣をお持ちの塚原様は非常に決断が早く、当社の要望や発生した問題をトップダウンで迅速にご判断いただけたので、プロジェクト稼働は予定通りかつスムーズに進行し、非常に取り組みやすかったのが印象的でした。また、プロジェクト期間はコロナ禍にあり、リモートによる打ち合わせが主体となりましたが、佳境に入るとJ-オイルミルズ様への訪問が許され、コミュニケーションを密に取りながら進めることができたことも課題解決を促進しました。

特筆すべきは、J-オイルミルズ様は不具合や品質で課題が発生した場合でも常に前向きに進められたことです。まずは修正してから原因を考えようというスタンスでおられたので、やるべきことが常に明確でした。

さらにインターフェースの開発にあたっては、開発するボリュームも多く、他のシステムベンダーとの調整も不可欠となります。当社が他社ベンダーと直接交渉しづらいことでも、常に塚原様が間に入られ、すぐに計画立てて検討の場を作っていただくなど、非常に合理的にプロジェクトを推進していただきました。それゆえ今回のプロジェクトは当社も学ぶことが多く、象徴的なプロジェクトのひとつとして歴史に残るものとなりました。

企業紹介

株式会社J-オイルミルズ
食用油脂の製造・販売を主な事業とする食品メーカー。2003年4月に株式会社ホーネンコーポレーション、味の素製油株式会社、吉原製油株式会社の3社が統合して設立。2021年4月にコミュニケーションブランド「JOYL(ジェイオイル)」を制定。100年以上の歴史の中で各社が培ったノウハウや強みを融合させ、商品・サービスを通じ様々な価値を社会に提供している。
https://www.j-oil.com

Jオイルミルズ様導入事例