20年来のレガシーシステムからの脱却を実現

~クラウドベースの勘定系システム「次世代バンキングシステム」導入の効果とは~

導入前の課題

  • ハードウェアも含め、システムの監視・更改に手間と費用がかかっていた
  • API連携が困難でDX推進の足かせとなっていた
  • 過去の財務諸表を紙媒体で探す手間が発生していた
矢印のイメージ図

導入効果

  • クラウド上で構築した新システムにより、運用・保守コストを抑制
  • API連携による外部サービスとの統合が容易に
  • 財務諸表を電子データとして保持できるようになり、自由に出力できるようになった

「Biz∫」導入経緯

― このたび福島銀行様で本稼働した「次世代バンキングシステム」のコンセプトを教えてください。

磯田様

磯田-美雪-様
SBI地方創生バンキングシステム株式会社
取締役 事業企画部長
磯田 美雪 様

「次世代バンキングシステム」は、地域金融機関向けのクラウドベースの勘定系システムです。 ホスト型勘定系システムに代表されるレガシーシステムは、ハードウェアの監視・運用コストに加えて、更改のたびに手間がかかり、開発生産性が低い傾向にあります。加えて銀行の要望に応じた機能拡張や商品追加に迅速に対応することが困難になっています。

インターネットバンキングやバンキングアプリなどの普及により、これらの課題は一層顕著になっており、これらの制約を克服するために開発したのが「次世代バンキングシステム」です。「次世代バンキングシステム」は、全ての機能をフルAPI・マイクロサービスで提供することで柔軟性を持ち、AWSクラウドの利用によりコスト削減を図ることをコンセプトとしています。

これらを実現するために、勘定系はゼロからスクラッチ開発しました。一方で、会計システムや全銀センターとの接続など業界標準の仕様が定められている部分については、新規開発ではなく実績のあるパッケージを採用することで、リスクを低減し安全性を高める方針で全体を構成しました。

石川様

石川 靖恭 様
SBI地方創生バンキングシステム株式会社
プロジェクト推進部 兼事業企画部 マネージャー
石川 靖恭 様

万全なセキュリティ対策も特徴です。 データ持ち出しや環境へのアクセスに関する厳格なルールを策定し、厳しい統制管理が求められる銀行業務に対応しています。

― 「次世代バンキングシステム」への移行に至った経緯、課題についてお聞かせください。

佐藤(英)様

佐藤-英樹-様
株式会社福島銀行
事務・システム部 システム担当部長 兼
システム課長
佐藤 英樹 様

福島銀行では2024年4月からの中期経営計画において、「『デジタル』のチカラで『リアル』の力を最大化」を基本方針として掲げ、DX 推進を通じた法人・個人のお客様の利便性向上を目指しています。

しかし、当時20 年以上稼働していた旧勘定系システムはホストコンピューター上で稼働して おり、DX 推進の鍵となるAPI 連携が困難でした。旧システムの更改時期が迫る中、SBI 地方 創生バンキングシステム様より「次世代バンキングシステム」をご提案いただきました。

「次世代バンキングシステム」は、API 化による外部データ連携が容易で、クラウドでの稼働によりハードウェア更改費用を抑制できること、さらにシステムがマイクロサービス化され、BRMS(ビジネスルールマネジメントシステム)によって柔軟性が高くシステム開発のスピードが向上することなどを理由に勘定系システムの全面刷新に踏み切ることとしました。

「Biz∫」選定理由

― 会計領域において「Biz∫」を選定した理由についてお聞かせください。

磯田様

「Biz∫」の機能の充足性と導入実績を高く評価しました。例えば、平均残高計算、当局への報告、各種計数管理に必要なセグメント別積数平均残高集計レポートの出力ができることは導入の必須条件でした。また、これまでの金融業界の導入実績から、「Biz∫」は銀行の厳しい基準を満たせる信頼性の高いシステムだと判断しました。費用対効果の点でも他社と比較検討して優れていると評価しています。

さらに、「Biz∫」導入ベンダーとしてのさくら情報システムの技術力や実績もポイントでし た。金融機関で必要となる機能が組み込まれた「Biz∫金融会計テンプレート」、金融業界で の実績、加えて担当者の要件理解度が高く、安心して任せられると確信しました。

導入プロジェクト

― 導入はどのように進めていったのですか。

佐藤(英)様

開始から本稼働まで約3年間のプロジェクトでした。2021 年1 月から3 月にかけて先行検討フェーズ、4月に要件定義フェーズに入り、9 月に要件定義を終え開発フェーズへ進みました。その後、設計・開発・結合テスト・総合テストを経て、受入テストおよび計5回 の移行リハーサルを実施しシステム稼働を迎えました。

磯田様

「Biz∫」導入にあたっては、さくら情報システムのプロジェクトメンバーと200 回以上のセッションを実施し、密接な連携を取りました。予算管理システム、組織体系、特に決算手順の大幅な変更が見込まれたため、入念な確認を重ねました。

佐藤(雅)様

佐藤-雅信-様
株式会社福島銀行
総合企画部 財務課 調査役
佐藤 雅信 様

決算業務でのスケジュールの遅延は許されず、データ連携や情報伝達を円滑に行い、迅速な数値確定が求められます。新システムでは、「Biz∫」と勘定系システム、そして既存の決算書作成システムという3 つのシステムのデータ連携が必要でした。当初「本当に連携が上手くいくのだろうか」と懸念もありましたが、さくら情報システムに支援いただきながら決算リハーサルを重ね、盤石な体制で稼働できました。

― 印象に残っているエピソードがあればお聞かせください。

磯田様

「Biz∫」が実績豊富なパッケージであることは認識していましたが、それを導入するSIer としてのさくら情報システムの存在は非常に大きな意味を持ちました。安心してお任せできるパートナーだと思っています。プロジェクト期間中はコロナ禍により対面でのコミュニケーションが制約されていた中、さくら情報システムのコミュニケーション力、業務理解度の高さに助けられました。問題が発生した時には速やかに報告が上がり、先手を打てました。費用面やリスクへの対応など検討事項は多岐にわたりましたが、その都度丁寧に対応いただき、着実に課題を解決することができました。

深谷様

深谷-克紀-様
株式会社福島銀行
事務・システム部 業務改革担当部長
深谷 克紀 様

コロナ禍において、オンラインでのコミュニケーションに慣れるまで時間を要しました。発言のタイミングを計ることが難しく、微妙な間が生じることがありました。コミュニケーションに困難を感じる場面も多々ありました。そのような状況下でも、SBI 地方創生バンキングシステムやさくら情報システムに当社の意図を汲み取りご対応いただけた点は大変有難く、大きな助けとなりました。

佐藤(雅)様

システム稼働後に、本部組織の店番を変更する必要が生じました。本部組織の財務部門、システム部門、営業統括部門等などが「Biz∫」を利用しますが、部門ごとに帳票取得の目的及びタイミングが異なっていました。そこで、各部署が自由に帳票を取得・分析して営業活動に活用できるよう店番を再編することになりました。業務負荷が増大する可能性があったため決算作業と月次作業の合間に実施しましたが、さくら情報システムの入念な準備により円滑に完了しました。今後の運用効率化につながり、大変助かりました。

湯野様

湯野-浩士-様
株式会社福島銀行
総合企画部 財務課 課長
湯野 浩士 様

今回のプロジェクトは、当部門からは調査役の佐藤が直接の窓口を担当していましたが、私もメールなどを拝見していました。特に、繁忙期となる決算のタイミングに合わせて融通を利かせていただいたことは、非常にありがたかったですね。

阿部様

阿部-容子-様
株式会社福島銀行
総合企画部 財務課 副調査役
阿部 容子 様

通常の週1 回の打ち合わせに加え、疑問点や再確認したい事項が生じた際に、その都度迅速にさくら情報システムに対応いただき、打ち合わせの機会を設けていただきました。質問した当日の夕方に打ち合わせを打診いただいたこともありました。スピーディーな対応に助けられました。

本稼働後の効果

― Biz∫の導入後、どのような点をご評価していますか。

佐藤(雅)様

「Biz∫金融会計テンプレート」導入により、平均残高を含む決算業務に必要な帳票を出力できるだけでなく、保持期間に限りがあった帳票も電子データとして保持できるようになり、過去の財務諸表をシステムから自由に出力できるようになりました。

さらに、実際に利用してわかった良さもあります。例えば、「分析フィールド」機能です。一般 的な会計ソフトウェアでは組織体系と勘定科目に基づいて財務諸表が作成されますが、「Biz∫」は、この分析フィールドを設定することで多様な分析軸で財務諸表や試算表を作成 することができます。特に、消費税コード別の分析フィールドは、消費税申告書作成で活躍し ています。

また、当行は本年4 月にエリア営業体制へ移行し、40 店舗を約12 の地域に再編しました。旧 システムでは、エリアごとの状況を把握する際に、店舗別に帳票を出力し手作業で集計する 必要がありました。しかし、「Biz∫」は任意の期間及び組織で帳票の出力、集計が可能なた め利便性が高いと評価しています。今後のエリア体制変更にも迅速に対応できそうだと感じ ています。

阿部様

報告書作成などの様々な業務で日々「Biz∫」を利用していますが、柔軟性が非常に高いと感じています。組織、期間、科目体系などを自由に選択しカスタマイズできる点が使いやすいです。

石川様

課題や現在の取り組み状況について、さくら情報システムからコンスタントにご報告をいただいています。システム開発と会計の専門的な知識を基に福島銀行様と共に課題解決に取り組んでいただいており、大変信頼できるSIer であると実感しています。「Biz∫」や「Biz∫金融会計テンプレート」は、その柔軟な対応力により、銀行様の要望に応える仕組みを有している点が非常に優れていると評価しています。

将来展望

― Biz∫の利用を通して、どのような将来展望をお持ちですか。

阿部様

導入から1 年が経過し、当初は定型的な帳票作成に注力していましたが、最近では「このような利用方法も可能ではないか」と考えながら使用しています。今後さらに活用を進めることで、新たな活用方法を見つけていきたいです。

佐藤(雅)様

「Biz∫」に期待したいことは、さらなる拡張性です。現在は、「Biz∫」、勘定系システム、そして既存の決算書作成システムの3 つのシステムを連携しています。決算書作成システムでは、金融業特有の法定様式である決算状況表の基礎データ作成などを行っています。これらが「Biz∫」で行えるようになれば、システム数が3 つから2 つへと削減されるため、よりコンパクトな運用が実現します。さらなるコスト削減および作業の効率化のため、実現に向けたご支援をいただきたいです。

深谷様

今後もDX 化を推進し、地元福島の発展に貢献できる真のリージョナルバンクを目指します。デジタル化を推進し、お客様と対面で対応する部分に注力していくことで、福島の法人・個人のお客様の事業支援やライフプラン支援に尽力してまいります。その実現のため、今後も次世代バンキングシステム、および会計領域においては「Biz∫」を最大限活用しながら、DX 化に取り組む所存です。

パートナーからの一言

「Biz∫金融会計テンプレート」は、さくら情報システムがこれまで取り組んできた金融機関様へのERP導入実績から、金融機関様で必要となる機能を標準仕様として「Biz∫」に組み込んだ金融会計テンプレートです。

銀行様への「Biz∫金融会計テンプレート」導入は今回のプロジェクトが初でしたが、貴重な機会をいただいたこと、また弊社の対応をご評価いただいたことに感謝申し上げます。

約3年間のプロジェクトを通じて、福島銀行様がシステムをいかにご活用いただけるか、決算業務を円滑に遂行できるかを常に念頭に置いて進めてまいりました。コロナ禍によりコミュニケーションの制約もありましたが、共通の目標を無事達成できたと安堵しております。同時に、システムが稼働してからが真のスタートであると認識しております。

「次世代バンキングシステム」は福島銀行様のDXを加速する上で、重要なプラットフォームであり、他の地方銀行様への導入拡大が期待されています。このたびの導入成功は、弊社の実績を語る上でも重要な出発点となります。これを契機に多くの銀行様に「Biz∫金融会計テンプレート」はじめ最適なソリューションをご提供し、お客様の経営力強化に努めてまいります。

(さくら情報システム株式会社)

企業紹介

会社名 株式会社福島銀行

1922年創業。経営理念「福島のために」「お客さまのために」「そして未来を育むために」を掲げ、地域に根差した金融サービスを提供し福島県の発展に貢献している。個人向けに預金、各種ローン、投資信託、保険サービスを、法人向けには融資やインターネットバンキングサービスなどを幅広く提供している。

https://www.fukushimabank.co.jp/

福島銀行様ERP導入事例