シェアードサービスとは、社内やグループ企業内で共通する業務を集約し、それらを扱う専門の部門あるいは子会社を立ち上げるなどしてコスト削減やサービス向上を図る仕組みのことです。人事や財務、経理といった間接業務は、企業による業務内容の違いが大きくないため、一つに集約することで、組織のスリム化の実現、コスト削減、業務の品質向上が期待できるというメリットがあります。

 シェアードサービスと関係する言葉に、「BPR(Business Process Re-engineering)」があります。 BPRとは、業務効率や生産性向上に向け、業務の流れや仕組みを全面的に再構築するいわゆる業務改革のことです。BPRは企業の継続的な改革の一環として行なわれ、他の多様な手段との組み合わせで実施される場合が多くなっています。

 BPRの実現のための手法として、シェアードサービス、アウトソーシング/BPO(Business Process Outsourcing)、見える化などが挙げられます。

 シェアードサービスは、アウトソーシングと同様、BPRの過程で特定のビジネス・プロセスの効率化のために検討されます。シェアードサービスを行う組織や企業のことをSSC(シェアードサービスセンター)と称することもあります。

 シェアードサービスの組織形態については、大きく2つに分けられます。1つ目は、本社の一部門に共通業務を集中させる形態と、2つ目は子会社に業務を集中させる形態(Outbound-SSC)です。

 前者のメリットは、大幅な組織変更が不要、利益創出にこだわらずコスト削減に専念できることです。デメリットは、本社の業務形態を引きずってしまうこと、SSCの業績測定が困難であることが挙げられます。

 後者は、業績測定が容易で、間接業務コストを明確にできるメリットがある半面、本社部門よりも初期投資が大きいこと、従業員の業務意欲が低下しやすいといったデメリットがあります。

 日本では、2000年代からシェアードサービスの概念が広がり、大企業を中心にシェアードサービスの導入が進みました。対象業務については、福利厚生・購買・総務業務にも広っており、自社グループでの運用ノウハウを活用し、他の企業にSSCサービスを外販する企業もあります。