生産管理とは、製造業において、顧客が要求する品質、数量、納期通りに進め、かつ標準の原価で製造するための活動です。業務範囲は各企業で多少異なりますが、主な業務は、製品の需要予測、生産計画、材料調達、生産活動、品質管理、納期管理、在庫管理などが挙げられます。仕入れ先との価格交渉や受け入れ検査、生産ラインへの人員配置、生産進捗の管理を行うこともあります。最終的には会社全体の収益を向上させることが目的であり、製品の企画から生産、納品までを遅延なくかつ効率的に行うことが求められます。生産管理は、工場の司令塔のような位置づけであり、製造業の根幹を支える重要な業務です。

 生産管理に関連する言葉に「工程管理」があります。生産管理が製品の企画・調達・出荷のプロセスを一元的に管理するのに対し、工程管理とは生産計画に基づいて各工程が予定通りに進んでいるか確認することで生産効率を高める業務です。

 生産管理において重要なのは「品質(Quality)」「コスト(Cost)」「納期(Delivery)」の3つの要素(QCD)を最適化することです。つまり、良い品質のモノをコストを抑え、短納期で製造することにより、顧客満足度を高め、収益を最大化し、製品競争力を高めます。

 製造現場を効率化するための有力な手段の1つがITツールの利活用です。

 例えば、生産管理システムを導入することで、見積りの精度向上や製造の進捗状況の正確な把握、部品調達から納品までのリードタイム短縮などのメリットがあります。

 他にも、3DCAD、ロボット活用、工場IoT化などさまざまなデジタル化が企業で進められています。

 製造業は、GDP・就労人口ともに2割程度を占める重要な基幹産業であり、日本の経済を牽引しています。しかしながら、昨今製造業を取り巻く環境は急激に変化しており、新型コロナウイルス感染の影響や半導体不足によるサプライチェーン(製品の供給網)分断にによる製品原材料の調達の遅れ、環境への配慮、人手不足の顕在化など生産管理に大きな影響を与えており、デジタル技術活用による新製品・サービスの創出が喫緊の課題となっています。

参考文献

厚労省 生産・工程管理事務 どんな仕事?
https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/437

経産省「製造業を巡る動向と今後の課題」2021年9月
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/seizo_sangyo/pdf/009_02_00.pdf

中小企業基盤整備機構「製造現場の生産性向上」
https://j-net21.smrj.go.jp/handbook/productivity/factory.html