企業会計は、大きく財務会計と管理会計の2つに分けることができます。財務会計は、企業の資産、負債、資本や損益を計算した財務諸表等によって、株主や投資家など外部に公表することを主な目的としています。
一方で、管理会計とは、企業内部用の経営管理のための会計のことです。
企業経営においては、自社の現状を知ることが不可欠です。現状を知るためには数字が必要です。つまり、企業において経営の意思決定に必要な会計情報を企業の内部管理を目的として作成するものです。近年、この管理会計の重要性が認識されています。
管理会計の代表的な会計情報には「予実管理」「月次決算」「原価管理」「資金繰り管理」などがあります。予実管理で、経営目標に合わせて設定した予算と、それに対する実績を集計し評価します。予算実績差異分析をタイムリーに行うことで、最初に設定した予算が適切かどうか、実績が未達となった原因を分析するのに役立ちます。
月次決算を行うことのメリットは、迅速に経営情報を入手することが可能となり、会社の現状把握、予算管理及び対応策の検討に役立ちます。なお、月次決算については必ずしも公表する必要はありません。
原価管理の目標は、製品やサービスを提供するのにかかった原価(コスト)を低減することです。
資金繰り管理は、キャッシュフローを把握し、運転資金が不足しないようにするために重要です。損益計算書上は利益が上がっていても、現金が足りないというケースもあり得ます。資金繰り管理を行うことで、そうした事態を避けることができ、今後の資金調達の検討にも役立ちます。
管理会計のメリットは、これらの情報を元に、会社やグループ会社の売上、利益、財務状況などを事業単位や部門別、サービス別、製品別など様々なセグメントを設定して分析することで、部門毎の業績評価が行えること、また、どの事業を拡大すべきか、あるいは縮小すべきかといった、意思決定が行いやすくなることです。さらに経営状況をタイムリーかつ定量的に把握することで、目標や成長戦略を立てやすくなります。
このように、管理会計はどのような企業にも重要ですが、自社のビジネスモデルや実態に合った管理会計の仕組みを構築することが求められます。
参考文献
独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業の管理会計システム」2011年3月
https://www.smrj.go.jp/doc/research_case/kanrikaikei.pdf
財務省「【公会計に関する基本的考え方】2.公会計の意義・目的/財政制度等審議会」
https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/report/zaiseig150630a/zaiseig150630c.htm
国土交通省 道路IRサイトより 管理会計について【概要】
https://www.mlit.go.jp/road/ir/sisan/13pdf/4.pdf