原価計算とは、企業で製品やサービスを生産し販売するのにかかった費用を計算することです。原価計算の目的は、財務諸表の作成、原価管理、予算編成や予算統制などのために行われます。

 個別原価計算とは、原価計算方法の一つで、受注案件ごとに「製造指図書」を作成し、かかった費用を費目ごとに累積して把握するものです。「製造指図書」とは、受注生産において注文書番号、受注先、着手日、完了日、費目、数量など仕事を特定するものです。

 個別受注生産方式や多品種少量生産方式を採用している企業に適した方法であり、造船業や建設業などで使用されます。

 個別原価計算の流れは、大きく4つのステップになります。

 まず、各個別製品について製造指図書を発行します。次に個別原価計算書を作成します。それから、直接費(材料費、労務費、経費)を個別原価計算表に記入します。最後に製造間接費を当初の予定に基づいて、個別原価計算表に記入します。

 大企業では、発生した原価を部門ごとに集計する場合があり、部門別個別計算と呼ばれます。

 対になる言葉として、総合原価計算という計算方法があります。総合原価計算は、製品工程で発生した製造費用を一定期間ごとに集計して原価を導き出す方法で、例えば白物家電や自動車ほか同一規格で大量生産を伴う汎用製品に使われています。製紙、セメント、鉄鋼、電力、ガスなどの産業分野で採用されています。