ITILとは、イギリス政府機関により策定された、ITサービスの成功事例を体系化したITシステムのライフサイクルマネジメントに関するガイドラインのことです。ITサービスの計画、提供、サポートの一連の業務管理が「ITサービス・マネジメント(ITSM)」です。このITSMの実装のフレームワークとして広く採用されているのがITILです。

 ITIL (Information Technology Infrastructure Library)は、ITSM(ITサービスマネジメント)の成功事例(ベストプラクティス)を体系化したITシステムのライフサイクルマネジメントに関するガイドラインです。

 もともと、ITILは英国商務局(OGC : Office of Government Commerce)がとりまとめたもので、1989年にITIL V1が発行されました。ITIL V1は40冊を超える書籍群でしたが、1990年代後半から2004年にかけて大きな改版が行われ、7冊の書籍として再編成されました(ITIL V2)。ITIL V2は、各国語に訳され世界中に広まりました。また、ITILの標準規格への取込みも進められ、2005年12月にはITILをベースにマネジメントシステムとして整理された国際規格「ISO/IEC20000」が策定されました。その後、2007年にITIL V3が、2019年にITIL V4発行と、バージョンアップを重ねてきました。

 ITILは、「サービス・ストラテジ」、「サービス・デザイン」、「サービス・トランジション」、「サービス・オペレーション」、「継続的なサービス改善」という5つの構成要素から成り立っています。

 ITILは、IT運用管理の規範を網羅しており、導入することでITサービスの対応内容が整理でき、利用者の満足度も向上します。また、インシデント発生時の対応がマニュアル化されるので、最短でサービスの復旧が可能になります。日本では公共分野や民間企業におけるITサービスの設計、提供、保守に広く採用されています。

 ITサービスマネジメントを適切に実施するためには、ITILとともに、下記のフレームワークが参考になります。

● COSO(the Committee of Sponsoring Organization of the Treadway Commission)内部統制に関する考え方や標準的なフレームワーク

● COBIT(Control Objectives for Information and Related Technologies)組織のITガバナンスの標準的なフレームワーク