IFRSとは、International Financial Reporting Standardsの略で、日本語に訳すと国際財務報告基準となります。IFRSは、国際的な会計基準を審議・策定するために設立された民間非営利の基準設定機関IASB(International Accounting Standards Board:国際会計基準審議会)によって、「世界共通の会計基準」を目指して制定されました。

 IFRSには、「原則主義」「賃借対照表重視」「グローバル基準」という3つの特徴があります。原則主義とは、解釈指針以外の詳細な規定や数値基準がほとんど示されていない会計主義で、自由度が高いことが特徴です。それに対し、日本基準は、細則主義と呼ばれ、会計基準や解釈指針、実務指針など、細かく規定や数値基準が定められています。また、IFRSでは、企業業績を評価する情報として、将来キャッシュフローの拠り所となる賃借対照表を重視しますが、日本基準では期間損益を重視する損益計算書を重視しています。

 当初はIFRSを適用する国はそれほど多くはありませんでした。しかし、2005年にEUが上場企業に対してIFRSの強制適用を開始したことで、国際標準として認知されるようになりました。現在では120か国以上で採用されています。米国でも、2007年から米国基準以外に、IFRSの採用が認められました。日本でも2010年3月以降、日本基準以外にIFRSの任意適用が可能となり、2022年時点のIFRS適用企業の数は250社を超える水準になっています。 

参考文献

金融庁「会計基準を巡る変遷と最近の状況」2020年11月
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/kaikei/20201106/5.pdf

経済産業省 経済産業政策局 企業会計室「企業会計制度をめぐる動向」平成27年10月
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/kigyoukaikei/pdf/accounting_systemrev2.pdf