EDIとは、Electronic Data Interchangeの略で、日本語に訳すと電子データ交換となります。企業間における契約書や商取引に関する文書を電子データとして、専用回線やインターネットを介してやり取りするシステムのことです。

 従来の企業間の取引では、契約書や発注書、受注書、納品書、請求書などのさまざまな文書をスキャンして電子メールに添付したり、FAXや郵送によってやり取りしたりしていましたが、紙の書類での管理が煩雑でコストがかかることや、転記ミスが起きるといった問題がありました。

 それに対しEDIでは、取引情報のやり取りを標準化できるため、コストを削減できるだけでなく、データの一元管理も行えることがメリットです。EDIで他の企業とデータのやり取りを確実に行うためには、利用するコードやフォーマットなどのルールを統一する必要があります。

 EDIには、「個別EDI」「標準EDI」といった種類があります。

 個別EDIは、コードやフォーマットなどを取引先ごとに決めて行うもので、取引先要件にあわせたルール設定ができますが、取引先ごとに変換システムを用意する必要があり、EDIの利便性を活かしきれません。

 標準EDIは、規約やフォーマットなどを中立的な機関が標準化したもので、取引先ごとに設定の変更や転記の必要がなく、受注者の負担を軽減できます。

 そのため、個別EDIから標準EDIへの動きが進んでいます。企業間の取引が「中小企業共通EDI標準」、「全銀EDIシステム(ZEDI)」といった仕組みによって、共通の基盤が整いつつあります。

 近年「Web-EDI」と呼ばれるインターネット回線を利用する新しいEDIが普及しています。2024年1月にISDN回線の「デジタル通信モード」サービス終了に伴い、従来の専用回線を使ったEDIが利用できなくなってしまう問題がクローズアップされ、それに代わる手法として注目されています。

 Web-EDIは専用ソフトが不要で、インターネット環境を準備すれば、初期コストを抑えてEDIを始められることがメリットです。

 ただし、Web-EDIは標準化されていないため、発注先ごとに受注者が異なる操作や取引画面での処理を強いられる「多画面問題」も生じています。多画面問題に対処し、多様な企業間での取引を実現するためには、規格の共通化が重要です。

 将来的には、共通EDIを介して業界横断的に相互に繋がることが期待されています。

参考文献

経産省 資料「EDIと 物流EDI標準 一般社団法人 日本物流団体連合会」2021年11月
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/physical_internet/pdf/003_04_02.pdf