ABCとは、Activity Based Costingの略で、活動基準原価計算と訳されています。製造や商品の販売に消費された原価(費用)を計算する、原価計算方法の1つです。企業の費用を活動ごとに分類してコストを集計し、その活動を基準として製品やサービスに賦課することでコスト管理を行う管理会計のための手法です。
原価計算を行う際に問題になりやすいのが、製品との対応関係が明確ではない、いわゆる製造間接費の配賦です。製造に共通してかかる機械の減価償却費や労務費を各製品に一括配賦する従来型の原価手法では、算出した原価が実態とかけ離れたものになるという問題が生じます。少品種かつ大量生産の時代、即ち製品原価に占める直接費の割合が大きく、製造間接費の比率が低い場合には従来型の原価手法で問題はありませんでしたが、少量多品種へ生産がシフトし、間接比率が大きくなるにつれ、問題が表面化しました。
そこで、1980年代に、正確な製品原価を算定する目的で、アメリカで考案されたのがABCです。「活動(アクティビティ)」ごとの費用を集計することにより、コストの発生原因を正確につかむことが可能となり、適切な価格設定が可能となります。また、コストをアクティビティ単位で把握できるため、業務の効率化など経営に役立つ情報を得ることができます。
ABCは、製造業において間接費を正確に製品に配賦する手法として誕生しましたが、現在では非製造業や行政サービスを行う官公庁や自治体などにも導入されています。