社会インフラ事業者のコスト低減と業務効率化をERPで促進

ガスや電力などのエネルギーを供給する社会インフラ事業者は、「小売全面自由化」による変革にさらされており、顧客獲得につながるサービス強化が求められています。サービスの充実を図るためには、システムコスト削減や業務効率化は最優先で取り組むべき施策です。もっとも、一口に社会インフラ事業者といっても企業規模や業態は多種多様で、抱えている事情も異なります。そこで本記事では、あるガス事業者の取り組みに注目し、業界全体が抱える課題解決へのアプローチを紹介します。

ガス事業者が抱える2つの課題

「システムコスト低減」と「業務効率化」

現在、ガス事業者は、激化する価格競争への対応が迫られています。サービスを安価に提供するためには、何らかのコストを削減しなければなりません。しかし、原価(固定費)が高止まりしているのが実情で、そのうちの大きな割合を占めているのがシステムコストです。事業規模とバランスのとれない高価な外資系ERPを利用し続けていることもその一因となっています。

また、業務においてもでもさまざまな課題があります。そもそもガス事業者が高価な外資系ERPを利用し続けているのは、社会インフラ事業ならではの複雑な会計処理があるためです。不正防止が厳しく義務づけられている中で、監督省庁からの監査に対応するためには、勘定科目を非常に細かく設定・管理しなければなりません。既存のERP上にアドオンで組み込まれた会計処理を、容易に他のシステムに移行することができないのです。 取引先との連携、中でも購買業務の効率の悪さも大きな課題です。一般的に、ガス事業者は地域の活性化、地域社会への貢献といった社会的責任も負っているため、幅広い企業と取引しています。

インフラ事業者のよくある課題
ガス事業者が抱える2つの課題

しかし、取引する企業の中にはシステム化が十分に進んでいないケースも多く、FAXや郵送による伝票のやりとりなど紙ベースでの運用が数多く残っています。そのため、電子決裁の導入は思うように進まず、ペーパーレス化への対応が難しいという側面があります。

業務システムを3つのドメインに分割した課題解決の基本方針

これらの課題を踏まえると、システムコストの低減と業務効率化をバランスのとれた形で最適化することが解決の基本的な方向性と言えます。

 サービスやパッケージの活用は、確かにシステムコスト低減に寄与します。しかし、実際の業務に合わないものを導入した場合は効率化を妨げる要因となり、結果的にコスト低減につながらない可能性があります。したがって、導入の条件を特に定めないまま、既存のERPをより安価な他のサービスやパッケージにリプレースすると、失敗するおそれがあります。

 そこであるガス事業者は業務システムを次の3つの領域に分割し、それぞれの特性に合わせたシステム構成を採用することでシステムコスト低減と業務効率化の両立を目指しました。

1.会計領域:制度やルールがベースとなるためパッケージ対応が比較的容易であり、コストメリットを重視します。

2.購買・在庫領域:一般的業務をベースとしつつ、幅広い企業との連携など現状ノウハウの継承を考慮します。

3.外部連携(EDI)領域:外部利用を踏まえた利便性を提供する新機能として、業務効率化を実現します。

上記の3つの領域について、それぞれが目指す課題解決の方向性を次項で詳しく紹介しましょう。

会計と購買・在庫を共通基盤で構築し、
WebEDIにより様々な取引先とのやり取りを効率化

1つめの「会計領域」については、現行の外資系ERPと同等の機能や規模を持つ国産ERPパッケージを導入し、コスト低減を図りました。国産ERPパッケージを選ぶメリットは、同規模の外資系ERP製品に比べ、導入・サポートコストが抑えられ国内商習慣への適応力が高いことです。

 ガス事業者ならではの複雑な業務の1つにガスメーターの資産管理があります。利用者各戸に設置されるガスメーターは膨大な数に上り、数年おきに回収・点検してオーバーホールを行った後に各戸に再配布します。しかし、耐用年数を経たものについては廃棄して減価償却する必要があります。

 このような業界特有の業務処理はアドオンで対応するしかありません。しかし安価なSaaS系のERPではこのような要件は対応できないため、より高機能の国産ERPパッケージをベースに必要な機能を実装することで、システムコストと業務効率のバランスがとれると同社は判断しました。

2つめの「購買・在庫領域」についても会計領域と同一の国産ERPパッケージを導入し基幹システムにおける基盤の統一を図ることにしました。取引先との業務プロセスの大幅な変更は業務へのインパクトも多かったため、ある程度現行の業務フローを踏襲したうえで、柔軟に対応できる国産ERPを採用して対応いたしました。

 3つめの「外部連携(EDI)領域」については、国産ERPと同じ基盤上にWebEDIを構えることで、業務のシームレスな連携と統制の課題両方の実現を図りました。この目的はあくまでも業務効率化であり、基幹システムとのシームレスな情報連携とユーザーにとっての利便性がポイントです。会計領域や購買・在庫領域と同じ開発基盤を活用して要件を満たす機能を実現することが、結果的にコスト低減と業務効率化のバランスを取れると判断しました。

業務要件に柔軟に対応できるBiz∫とintra-martの組み合わせでシステムを刷新

上記のシステム刷新を実現するために、このガス事業者が導入した具体的なソリューションがBiz∫です。

Biz∫はシステム統合基盤としてNTTデータ イントラマートの「intra-mart」を採用しています。intra-martは国内シェアNo.1のワークフローエンジンから発展したシステム統合基盤製品であり、カスタマイズやアドオンにおける開発生産性を高め、その結果としてBiz∫のコストメリットを最大限に引き出します。

社会インフラ事業者のERP導入後のシステムイメージ
社会インフラ事業者のERP導入後のシステムイメージ

またintra-martの充実したワークフロー機能を活用することで、業務効率と内部統制の強化を実現できます。例えば財務会計において、電子決裁のワークフロー化が非常に大きな効果を上げています。これまで帳票を紙に出力し、関係者がハンコを押しながら承認手続きを回していた非効率な業務や、決済済みの帳票をファイルに綴じて保管する手間も解消されます。

さらに外部連携(EDI)領域についても、対外接続のWeb基盤としても定評があったintra-mart上で動作するProFrontを導入することで、購買・在庫領域との連携性を高め、業務効率の向上を目指しました。システム化が十分に進んでいない取引先も使いやすいポータルを提供することで、取引の電子化・ペーパーレス化を進めています。

またBiz∫と同じintra-martを利用することで、データの一元化によるシームレスな運用やシステム保守性の向上、システムのランニングコスト低減を実現しました。

 今回例に挙げたガス事業者以外にも、同様の課題を抱えている社会インフラ事業者は数多く存在するでしょう。NTTデータ・ビズインテグラルでは今回開発したシステムの知見を踏まえて、インフラ事業者の業務課題解決を図っていきます。

※ProFrontは、タクトシステムズ株式会社の登録商標です。
※intra-martは、株式会社NTTデータ イントラマートの登録商標です。