~目指すはアジアNo.1!売上拡大と高収益を実現する新基幹システム~

ユーピーアール株式会社は、荷物を載せるために使用する「パレット」のレンタル事業を手掛けています。パレットとは、工場や倉庫などで荷役作業に使われる簀子状の板のことで、物流や運搬に欠かせない商品です。同社ではさまざまな素材や豊富な種類のパレットを揃え、さらに物流の「見える化」ニーズに対応した遠隔監視や輸送管理システムはじめ、お客様の悩みを解決する製品やソリューションを次々と打ち出しています。事業エリアは国内にとどまらず、シンガポール、タイに現地法人を立ち上げ、アジアNo.1の地位を築くべく急成長を続けています。 2011年より会計業務、販売管理、人事給与管理、就業管理、グループウェア、情報分析ツールなど基幹業務を全て刷新するビッグプロジェクトに数年がかりで取り組んでいます。これまで「Biz∫販売」「Biz∫会計」を導入し、昨年より順次運用をスタートしました。 導入に至るまでの経緯、稼働状況や今後の計画について、基幹システム構築プロジェクト 岩宮リーダー、物流システム営業本部 東京本社営業部 第二営業所 佐々木所長、経理・財務本部 小林係長に伺いました。 ※所属部署名はインタビュー時(2014年11月)の名称となります。

導入前の課題と効果

導入前の課題

  • マスターデータの不統一や顧客コードの不整合など、管理の手間がかかる
  • 月次の売上集計の作業が煩雑で、経営判断のための資料の作成に多大な労力を要する
  • 新たなビジネスモデルに合った販売管理ができていない
  • 案件の進捗など売上関連データが営業担当に委ねられており、コンプライアンス上問題

導入効果

  • マスター設定やコードの統一により管理業務の負荷削減、データの精度と分析力を向上
  • 月次の売上集計作業が単純化され、資料作成にかかる労力が軽減
  • 新たなビジネスモデルに合った販売管理の実現
  • 引き合いから受注までの各営業プロセスの情報一元化

導入背景

基幹システム再構築に至った背景をお聞かせください。

岩宮様

当社では2003年に、長期10か年計画として、「2013年8月に売上100億、経常利益10億円を社員100人で達成する」ことを掲げました。

この高い目標を達成するためには、従来の業務のやり方を抜本的に変え、売上を伸ばすだけでなく、コスト削減や生産性の向上を実現しなければなりません。

また、いつでも株式公開可能な状態にしたいと考えており、経営情報が適正かつコンプライアンスに則って管理され、必要に応じてタイムリーに情報公表できること、また予期せぬ事態が発生しても事業継続できる企業体質への変革を迫られていました。 このような課題に対して、これまで利用してきたパッケージで対応するには限界があり、新たな基幹システムを導入すべく、2011年末から検討を始めました。

従来のパッケージでは限界があったとのことですが、具体的な問題点を教えていただけますか。

岩宮様

販売管理、在庫管理、会計管理については中小企業向けのパッケージソフトウェアを、レンタル事業についてはスクラッチ開発したシステムを使っており、その他にもグループウェアなど複数の製品が導入されていました。しかしながら、導入時期がばらばら、しかも統一性を持って導入したわけではなく、例えばマスターデータの不統一や、レンタルシステムと販売管理システムの顧客コードの不整合など、管理に手間がかかっていましたし、各種分析を行う上でも限界がありました。

小林様

従来はシステム間の連携ができていなかったため、例えば、販売システムからあがった売上データを会計システム用に加工、修正する必要がありました。また、その加工作業にも多大な労力を要していたため、役員へ提供する経営資料の作成に手間がかかるという問題点を抱えていました。

岩宮様

さらに、業務拡大に伴いパレットレンタル事業の他に遠隔監視や輸送管理システムなど新たな事業が増え、それぞれのビジネスモデルに合った販売管理システムが必要だったのですが、カスタマイズができなかったため我慢して使っている状態でした。

佐々木様

販売に関しては、これまで各種帳票の作成はMicrosoftのAccessでローカルに(オフラインで)作成しており、引き合いから見積もり、受注に至るまでのプロセスが一元化されておりませんでした。その結果、案件の進捗状況や売上データの管理が営業担当に委ねられており、コンプライアンス上も問題でした。

さまざまな問題を抱えておられたのですね。ERP選定にあたって重視されたポイントはありますでしょうか。

製品だけでなく、ベンダーの対応力を含めて選定しました。 まず重視したのは提案価格、次にパッケージとしての機能です。ベンダーの対応については、熱意があり、かつ何でも気軽に相談できるベンダーを求めていました。 ご提案いただいたベンダー5社の中で、Minoriソリューションさんはとても熱心で、カスタマイズの際にも気軽に相談できそうな親しみやすさを感じました。

「Biz∫」の採用の決め手は?

国産のパッケージであること、機能が豊富である点、また必要に応じてカスタマイズ可能であること、マスタデータを一元化でき業務アプリケーション同士の連携がスムーズであるところが気に入りました。「Biz∫」がIFRSに対応していることもポイントでした。

新システムの概要について教えてください。

現在、「Biz∫会計」、「Biz∫販売」が稼働しています。 なお、過去データの参照用に旧システムも並行稼働させ、リスク分散を図っています。 また、インフラ系では、システム可用性及び災害対策向けのBCP(ビジネス継続性計画)強化のため、東京と北九州の2か所にバックアップサイトを立ち上げました。

サービス業ERPシステム概要図

【 図:全体システム構成図 】

システム導入プロジェクトの概要

開発プロジェクトについて教えてください。

当初の計画では4か年で業務系、情報系含めてすべてを刷新しようと考えていました。2012年7月にキックオフし、各部署の代表によるプロジェクトチームを結成し、毎週の進捗定例会開催を通じて検討を進めました。

ご苦労された点は?

私を含めてプロジェクトメンバー全員が兼務だったため、通常業務との調整に苦労しました。 全体的にITリテラシーが高いとはいえず、またシステム導入が初めての経験となる社員も多かったせいか、会社としての目標というよりもむしろ個別の質問や要望が多く、要件を取りまとめるのが大変でした。 開発においては、出来るだけパッケージの標準機能でカバーしたいと思っていましたが、固有の業務要件や使い勝手の問題もあり、特に販売管理でカスタマイズをせざるを得ないところも追加で発生しましたので、予算との兼ね合いでも苦労しました。 その上、コア事業であるレンタル事業の管理システムの要件定義に関して、想定以上に時間がかかってしまい、全体的に1年ほどスケジュールが遅れている状況です。

これまで「Biz∫会計」、「Biz∫販売」を導入していただきましたが、現在の稼働状況については如何ですか?

カットオーバー後はトラブルなく安定稼働しています。実際に使ってみて、使い勝手や性能面などの部分で合わないところは逐次追加でカスタマイズを行っています。

営業部門では、正直まだ戸惑いながら対応しているというのが現状です。 但し、これはパッケージが原因というよりは、業務のやり方やルールを一新したことによるものであり、新しいプロセスに慣れていけば解決すると考えています。

導入の効果については如何ですか?

小林様

会計業務については、月次決算にかかる作業工程が短縮され、月々の売り上げ状況が早期に把握できるようになりました。月次データは毎月の部門責任者会議に共有し、損益状況や見通し把握に利用しています。 入力の手間が削減でき、情報の精度が格段に上がったと感じています。また、新システムでは電子帳簿対応も行っていますので、ペーパーレスやスペース削減に寄与しています。

販売管理に関しては、マスターの統一化や帳票類の電子化により、今後は業務負荷の削減効果が期待できます。 またシステムに日々蓄積されるデータを用いて案件の進捗や部門毎の売上分析などの営業支援機能を現場で積極的に活用していければと考えています。例えば、お客様の過去のご注文内容を参照することで、リピートオーダー時により迅速な対応が図ることができます。

未だ全てのシステムが完成してないため、コスト削減効果などについては今後検証していきたいと考えています。 まずは、現システムを利用して得られた課題をブラッシュアップしていきます。

2017年秋の完成に向けて開発を進めているとのことですが、最終的な狙いは?

岩宮様

次の7項目を実現していきたいと考えております。 1)営業力の向上、2)生産性の向上、3)コスト削減、4)ガバナンスの強化、5)コンプライアンスの徹底、6)情報の一元管理による「見える化」、7)セキュリティと事業継続性の強化です。

今後の開発計画をお聞かせください。

岩宮様

現在、「Biz∫」シリーズの経費管理、人事管理を導入中であり、2015年3月に稼働開始の予定です。来年度には(別製品とはなりますが)就業管理、BI(Business Intelligence)を導入し、コアであるレンタル事業については、「Biz∫APF」をベースにスクラッチ開発を予定しています。将来的にはグループウェアの導入も進めたいと思っています。

最後に抱負をお願いいたします。

岩宮様

まだ道半ばではありますが、ようやく完成の目途が立ちました。 先ほど述べた7つの項目の実現に向けて、着実に成果を出していきたいと考えます。

小林様

レンタル事業含めた販売系の業務と会計システムとの連携が実現すれば、より迅速に適切な経営判断が下せるようになります。将来的には、国内グループ、海外拠点を含めた連結会計の導入を検討していきたいです。

佐々木様

部門別の売上分析や顧客分析などの営業戦略ツールとして新システムの機能を積極的に活用していきたいと考えています。 将来的には、グローバル拠点毎の売上分析などに活用し、更なる売上や利益の向上に結び付けたいですね。

どうもありがとうございました

導入パートナーからの一言

ユーピーアール様は、事業が急拡大している中、ビッグバン導入をご決断されました。このようなビッグプロジェクトのパートナーとして弊社を選んでいただいたことは大変光栄であり、同時に責任の重さを痛感しています。
弊社の使命は、お客様のご要望に合ったシステムを開発し、企業の成長のお手伝いをすることです。
現在開発中のシステムを無事稼働させること、そしてレンタル事業向けの管理システムや情報系などの構築、運用まで末永くサポートさせていただけるよう、会社一丸となって課題の解決に努めます。

会社概要

会社名ユーピーアール株式会社
所在地東京本社 : 東京都千代田区内幸町1-3-2 内幸町東急ビル12F 宇部本社 : 山口県宇部市善和川東541-12
代表者代表取締役社長 酒田 義矢
設立1979年3月
資本金9,600万円
従業員数115名(2014年8月現在)
事業内容・パレット・物流機器のレンタル及び販売事業 ・物流コンサルティング事業 ・位置情報事業 ・カーシェアリング事業 ・遠隔監視事業 ・パワーアシストスーツ事業
※本事例に記載の情報は、2014年11月時点のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。